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タイムカードを電子化する方法とは?メリットや導入のポイントを解説
公開日時:2023.10.20
この記事では、タイムカード電子化の重要性やメリット・デメリット、導入する勤怠管理システムの選び方などを紹介します。勤怠管理の効率化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
タイムカードの電子化の方法とは?
タイムカードの電子化とは、紙ベースで専用の機械に挿入して打刻する方式を廃止して、ICカードやスマートフォン、パソコンを通じて勤怠報告ができるシステムに切り替えることです。業務効率化や不正の防止につながるうえ、多様な働き方にも対応しやすくなります。
タイムカードの電子化の必要性
タイムカードの電子化は、多くの場合、次のような目的で検討されます。
- 法制度に準拠した勤怠管理を行うため
- 働き方の多様化に対応するため
- 正確かつ効率的に勤怠管理を行うため
労働基準法を遵守するためには、各従業員の労働時間を正確に把握しなければなりません。過重労働やサービス残業などが問題視されるなかで、さらに適正な勤怠管理が求められるようになりました。
2019年4月に施行された働き方改革関連法では、残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務などが導入され、新たな法制度に対応する勤怠管理が必要となりました。これにより勤怠管理はこれまでと比較してさらに複雑化し、アナログでの管理は厳しい状況になっています。
また、コロナ禍の環境変化や働き方改革の実現に伴い、働き方も多様化しています。テレワークや出張先からの直行・直帰、フレックス勤務など、従業員それぞれが働きやすい労働環境を選べる企業が増えています。そのため、さまざまな勤務体系に対応して、正確に勤怠管理をする必要があるのです。
タイムカードを電子化することで、これらの課題に対応し、かつ効率的で正確な勤怠管理が実現します。勤怠管理に伴う従業員や管理職の負荷を軽減するとともに、意図せずに労働基準法に定められた範囲を逸脱してしまうリスクも避けられます。
タイムカード電子化のメリット
タイムカードを電子化することは、勤務状況の正確な把握に役立つほか、データ集計や管理の効率化にもつながります。また、不正や入力ミスの予防などにも効果があるでしょう。
リアルタイムで正しい勤務状況の把握
勤怠管理システムを通じて従業員の勤務状況をリアルタイムで把握が可能です。各人の残業時間や勤務状況を逐一把握できるため、タスクの偏りや過重労働を早めに是正して、時間外労働の上限規制の逸脱を予防できます。また、有休取得状況を管理し、休暇取得が少ない従業員に有休取得を促すといった対応もしやすくなります。
集計業務の効率化とミスの予防
勤怠管理システムは、打刻された勤怠データを自動で集計するため、業務効率化やミスの予防につながります。
紙ベースでの管理では、人間がエクセルシートなどに転記して集計する必要があり、手間がかかるうえ、入力ミスや計算ミスなどにより誤ったデータが生成されるリスクもあります。
勤怠管理システムによるタイムカード電子化は、集計業務を大幅に効率化できます。また、自動計算により、手作業や人為的判断が介在する余地が少なくなるため、集計に関するミスの予防にもつながります。
報告や分析業務の効率化
勤怠管理システムによっては、勤務状況を自動でレポートにして報告用資料を作成したり、勤務状況を分析したりできる機能が備わっていることもあります。関連省庁や社内向け報告資料の作成や、労働環境の課題分析などが効率的に行えるでしょう。
不正の防止
従業員が持つアカウントやICカードでの打刻を義務化することは不正リスクの低減につながります。紙のタイムカードは、代理打刻や手書きによる改ざんにより余分に給与支給をしてしまうトラブルが起こりやすくなります。入退室時にかざすICカードや、パソコンでのログインを用いる勤怠管理では、従業員各自のアカウントと紐づくため、改ざんやなりますましなどの不正を予防できます。
スマートフォンのGPSや生体認証の機能を活用すれば、本人が作業場所から勤怠報告を行っていることが確認できるため、より正確な勤怠管理を行うことができます。
紙や資料保管コストの削減
タイムカードを電子化すると、ペーパーレス化を推進できます。従来型のタイムカードは紙ベースで毎月新しいカードが必要となるため、多くの紙を使用します。また、労働基準法にてタイムカードは5年間の保管が必要となっています。勤怠管理システムを導入すれば、電子データで打刻や集計データを保管できます。ペーパーレス化の推進や消耗品のコスト削減につながります。
タイムカード電子化の注意点
タイムカードを電子化し、勤怠管理システムを導入するデメリットとしては、初期費用・導入費用がかかる、ルールの変更や操作方法などに従業員が慣れるまでの時間がかかるなどが挙げられます。
以下に詳しく見ていきましょう。
初期費用・利用料がかかる
勤怠管理システムの初期導入費用や導入後のシステム利用料として一定の費用がかかります。特にオンプレミス型は、システム連携や機能のカスタマイズなどの自由度が高い一方で、初期導入費用として数百万円程度のまとまったコストがかかる場合もあります。
一方で、クラウド型勤怠管理システムなら、自社でシステム構築をする必要がないので、初期費用を抑えられるでしょう。月額利用料は組織の規模に比例した従量課金制を採用するシステムが多くあります。
ただし、利用料は利用者数に依存する場合が多いため、中小規模の企業なら安価に利用できる一方で、大企業ではかえって高額になる場合もあるので注意が必要です。
従業員がシステムに慣れるまで時間がかかる
新しいシステムの周知やマニュアル整備、規則の変更などの手間が発生します。はじめのうちは従業員が慣れないなかで打刻することになり、不具合やミスが集中するかもしれません。
その場で過去の打刻記録を確認できない
タイムカード(紙カード)の場合には、過去1ヶ月分の打刻記録が印字されているため、従業員はいつでもタイムカード(紙カード)を見れば過去の記録を確認できます。
システム上で勤怠管理を行う場合、インターネット環境でなければ過去の記録を確認できない場合もあります。システムが複雑な場合は、打刻記録へアクセスする手間がかかる場合もあります。スマートフォンなどのモバイル機器でも打刻記録が確認できて、かつ使いやすいツールを選ぶことで、この問題は解消できるでしょう。
タイムカードの電子化を進めるポイント
タイムカード電子化の効果を最大化させるためには、導入目的を整理したうえで、費用対効果の高いシステムを活用することがポイントです。
導入目的を明確にする
解決したい課題を整理して、勤怠管理システムの導入目的を明確化することが大切です。例えば、以下のような目的が想定されます。
- テレワークなどの新たな働き方に順応したい
- 従業員の勤怠報告の手間を軽減したい
- 勤怠管理を効率化したい
- ミスや不正を防止したい
目的はひとつに絞り込む必要はありませんが、解決すべき課題に優先順位をつけて、ツール選びの基準にしましょう。
課題を解決する機能があるか見極める
勤怠管理システムを比較検討して、課題解決にもっとも役立つシステムを選ぶ必要があります。
例えば、従業員の打刻負担の軽減やミス防止が主目的ならば、打刻申請側の機能がシンプルで、スマートフォンからでも簡単に申請ができるシステムが適しています。法令遵守のために従業員の勤務状況を効率的に管理したいなら、管理者向けの機能や勤怠データの収集・分析に長けたツールが適切でしょう。
費用対効果が見合うシステムを選ぶ
費用対効果が見合うシステムを導入しましょう。小規模の組織であれば、通常は機能がシンプルで低コストなツールでも十分です。
一方、大企業の場合は、多機能で大量データ処理が可能なツールが必要でしょう。機能性の充実度も重視しなければなりません。労務管理全体を効率化させるうえで、労務管理システムや給与管理システムなどの外部システムとスムーズに連携できることも大切です。
まとめ
タイムカードを電子化して勤怠管理システムに変えることで、「集計作業の効率化」「紙や資料保管コストの削減」「不正の防止」などのメリットが得られます。さらに、「労働時間管理の強化」「法令遵守」「柔軟な働き方を可能にする」といった自社がタイムカードを電子化する目的を明確にし、最適な勤怠管理システムを導入しましょう。
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