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まだらテレワーク

まだらてれわーく

公開日時:2021.03.31 / 更新日時:2022.03.22

「まだらテレワーク」とは、テレワークで勤務する従業員と出社する従業員が職場や部署内で混在している状態のことを指します。2020年の新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言をきっかけにテレワークを導入した企業では、一度目の緊急事態宣言解除後にテレワークを継続する従業員と職場に出社する従業員が混在するケースが増えています。ワークライフバランスに配慮した上での「まだら」状態ではなく、なし崩し的な「まだらテレワーク」が続いている職場では、テレワーク勤務者の孤立感や不安感が高まりやすい傾向があると見られています。

まだらテレワークが起こる背景

まだらテレワークが発生する背景とそれが与える影響について、現在のテレワーク事情を基に解説します。

2020年4月の緊急事態宣言発令と解除がきっかけ

「まだらテレワーク」の状況は2020年4月に発令された1度目の緊急事態宣言で「原則在宅勤務」となった企業が、宣言解除後にテレワーク適用者を残しつつ、出社を再開したことをきっかけに生じました。

コロナ禍以前の日本の企業では今よりもテレワークが浸透していませんでしたが、緊急事態宣言前後の3〜4月はテレワーク実施に踏み切る企業が増加しました。この時期に急激にテレワーク導入が進んだ一方、緊急事態宣言解除後はテレワークを一部のみとし、従来のように出社を前提とした業務を再開する企業も多く見られ、結果的に「まだらテレワーク」の状況が発生していると考えられます。

戦略なきまだらテレワークとは?

コロナ禍をきっかけにテレワークを導入した企業には、自社の方針としてテレワークを位置付けている訳ではなく、従業員の希望や感染状況を見ながら一部テレワークを許容しているケースもあります。この状態を「戦略なきまだらテレワーク」と呼ぶこともあります。

もともと緊急事態宣言後に「人命ファースト」で一斉在宅勤務に踏み切った企業の何割かは、テレワーク環境下で円滑に業務を進められる体制が整っていませんでした。そのため、今後もテレワークを自社の戦略に位置付けることがない「戦略なきまだらテレワーク」を継続すると、テレワーカーにケアが行き届かずマネジメント面で問題が発生する可能性があります。

まだらテレワークでは、細やかな従業員マネジメントが求められる

まだらテレワークは一斉テレワークの時よりもテレワーカーに心理的負担が生じやすい状態であることが分かっています。まだらテレワークを続けることで懸念されるリスクや悪影響についてデータを基に解説します。

最も不安感が高まるのはテレワーカー比率が2〜3割の時

テレワーカーへの心理的ストレスに注目するパーソル総合研究所によると、まだらテレワークの時期に心理的ストレスが高まりやすく、職場のテレワーカー比率が2〜3割程度の時にテレワーカーの不安が最も高くなります。同調査では、コロナ禍以前や一斉テレワークの時期と同じマネジメント方法では、職場内の不安に対応できず、離職を招く可能性が高いと指摘しています。

参考:パーソル総合研究所|「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」

まだらテレワークがもたらす悪影響

まだらテレワークの与える悪影響として、テレワーカーに疑心暗鬼や不安が発生しやすく、その結果として転職リスクが増加することが挙げられます。「他のメンバーは出社しているのに、1人だけチーム内でテレワークをしている」という状況が発生すると、テレワーカーだけが意思疎通の難しさを感じ、孤立しやすくなります。また姿が見えない状態で進捗報告を行うため「成果を出さなければサボっていると思われるのではないか」という疑念を抱きやすくなります。

テレワークが続くことによる職場のコミュニケーション課題はデータからも明らかになっています。内閣府が2020年6月に発表した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」においては、テレワーク中の職場で不便と感じていること(複数回答可)のトップが「社内での気軽な相談・報告が困難」で34.5%、「画⾯を通じた情報のみによるコミュニケーション不⾜やストレス」と答えた人も多く、27.1%でした。

一方、管理職側も出社して仕事ぶりを直接確認できる従業員と比べ、テレワーカーのマネジメントに難しさを感じています。出社している従業員と比べ、テレワーカーとは口頭で質問ができないため業務の進捗が把握しづらく、遠隔でのやり取りではそのときに抱いている不満や困りごとを見過ごしてしまいがちです。

そのため、まだらテレワークの状態では、上司とテレワーカーの意思疎通が取りづらく、テレワーカーは出社者や上司からさぼっていると思われていると悩み、正当な評価を受けられないと感じる傾向が強まると考えられます。今後もまだらテレワークを続ける場合、テレワーカーには細かな配慮をするといったマネジメント面での工夫が求められます。

まとめ

まだらテレワークでは、テレワーカーの心理的ストレスが高まる傾向にあります。しかし、新型コロナウイルス感染症が完全に収束しないうちは、まだらテレワークを継続せざるを得ない企業も多いでしょう。ストレスの影響が深刻化しないようテレワーカーの孤立感・不安感を無視せず、ストレスが発生しやすいということを踏まえたマネジメントを行う必要があります。手軽にコミュニケーションが取れるチャットツールや社内SNSの導入を検討するほか、定期面談を行うなど、出社者とテレワーカーの間で不公平が起こらないような配慮が求められます。

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