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2025年問題

にせんにじゅうごねんもんだい

公開日時:2021.03.31 / 更新日時:2022.03.22

第一次ベビーブームに生まれ、現在日本の人口のうち約800万人を占める団塊の世代が75歳以上となる2025年は、超高齢社会がいっそう加速すると予測されています。この2025年を起点として、日本国内で深刻化が見込まれる社会保障費の増大や労働者人口の減少をはじめとする諸問題を総称して「2025年問題」と呼びます。少ない現役世代が経済的負担を抱えながら高齢者を支えることが予想され、政府は持続可能な社会保障制度維持のため介護人材の確保や認知症施策、地域で高齢者をケアする体制の整備を重要な課題として対策を進めています。

2025年問題がもたらす超高齢社会の課題

「2025年問題」は団塊世代が75歳以上となる2025年を境に、雇用、福祉、経済など社会全体に多大な影響を与える事態が訪れることを指します。今回はその中でも特に影響が大きいと予想される、社会保障の観点から政府のデータを基に解説します。

医療・介護から見た超高齢社会の予想図

2025年問題として予想される大きな課題は、高齢者の人口に対するケアの担い手不足です。内閣府「令和元年版高齢社会白書」によると、2025年には75歳以上の高齢者人口が2,180万人になり、また、厚生労働省の過去の調査では認知症高齢者数が約320万人になると推計されています。それに対し必要な看護職員は196万人~206万人とされていますが、現状は大幅な人員増が進んでおらず、2025年時点で3万人~13万人の職員不足に見舞われることが予想されます。

これらのデータが示すように、2025年が高齢者を支える現役世代の医師や看護職員、介護従事者が大幅に不足するターニングポイントであるとされています。

参考:厚生労働省|第1回介護施設等の在り方に関する委員会:資料4 今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~

参考:厚生労働省|看護職員確保対策 現状・背景

社会保障費増大が深刻な課題に

介護や看護が必要な高齢者が増加することに伴う社会保障費の増大も大きな問題です。現役世代の労働人口の減少は税収の減少に直結するため、2025年以降、「社会保障費の給付と負担のバランス」が大きく崩れると予想されます。加えて、医療費をはじめ、社会全体の社会保障費の負担を強いられる現役世代の経済的負担増も懸念されます。

また、財務省のデータによると特に医療・介護分野の社会保障給付はGDPの伸びを大きく上回って増加していくことが見込まれ、持続可能な社会保障制度を作るための施策検討が求められます。

参考:財務省:日本の財政を考える 9 社会保障費はどのくらいまで増えるのか

2025年問題に備える対策とは

2025年問題に備え、政府は社会保障のバランスを維持しながら高齢者と現役世代を支えるための対策を進めてきました。その具体例として政府が提唱する「地域包括ケアシステム」の体制整備と、介護人材確保、増加する認知症患者をケアするための施策について解説します。

地域包括ケアシステムの実現

「地域包括ケアシステム」は、社会保障のバランスを維持するための政策の1つで、「住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供するようなサービス体制」を2025年までに実現するための準備が進められています。2025年以降の社会では、現役世代の負担を分散するため医療と介護のケアを病院や介護施設から地域・在宅へ移行した自立支援が必要だと考えられています。

高齢者の地域での生活を支えるためには、地域包括ケアシステムが目標とするサービス体制の構築が急務とされています。

参考:厚生労働省:地域包括ケアシステム

介護人材の確保

介護人材は、高齢者を支える「地域包括ケアシステム」のための最も重要な基盤です。政府はこのシステムの構築のため、2025年問題に備えた介護人材確保に向けて以下のような施策を進めています。

1.介護業界への参集促進
・介護業界への就職を考えていない層向けの情報発信、交流
・介護を就職の選択肢と考えている層向けの職場体験の実施や実習プログラムの充実
・一時的に介護から離れている介護福祉士向けの届出制度の創設、再就業支援

2.労働環境・処遇の改善
・新たに介護職に就職した人材の早期離職防止
・結婚・出産・育児によらず生涯働き続けられる環境整備
・労働環境、雇用管理の改善
・将来の見通しを持って働き続けるためのキャリアパスの整備
・介護ロボット導入による腰痛対策や業務負担の軽減

3.介護人材の資質向上
・多様な人材層に応じた役割や教育、キャリアパスに応じた施策の実施
・多様化する介護ニーズに応じた介護福祉士の教育プログラムの確立、役割の明確化
・介護福祉士の資格取得方法の一元化

認知症施策の推進

大幅な増加が予想されている認知症患者を支えるための施策も高い優先度で進められています。政府は、認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けられる「共生」を掲げた「認知症施策推進大綱」を作成し、5つの柱として以下の対策をまとめています。

  1. 普及啓発・本人発信支援
  2. 予防
  3. 医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
  4. 認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
  5. 研究開発・産業促進・国際展開

まとめ

超高齢社会がいっそう加速する2025年には社会保障の構造変化によって現役世代の負担が過去最大になると見込まれています。現役世代、高齢者の区別なく大きな制度転換が見込まれる医療・介護サービスへの備えが今から必要です。さらに「2025年問題」の後には、65歳以上の高齢者人口がピークになる「2040年問題」が控えており、給付と負担の見直しによる社会保障の持続可能性の確保がより大きな課題となります。

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