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マイナンバー制度

まいなんばーせいど

公開日時:2021.05.11 / 更新日時:2023.04.14

マイナンバー制度は、「国民の利便性の向上」「行政の効率化」「公正・公平な社会の実現」の3つを目的として2016年1月より実施されています。マイナンバー(個人番号)とは、日本に住民票を有する全ての人が持つ12桁の番号です。原則として生涯同じ番号を使います。マイナンバー制度ではこの番号を活用して、煩雑だった社会保障や税などの手続きを簡単に行えるようにしたり、行政機関で今まで時間がかかっていた情報の照合や転記の負担を軽減したりすることが可能です。マイナンバー(個人番号)のほかに、企業情報の紐づけや所在地確認の簡略化を目的とした13桁の法人番号もあり、各法人に指定されています。

マイナンバーの取り扱いについて

マイナンバー(個人番号)は個人情報であり、取り扱いには注意が必要です。ここでは企業が実施しなければならないマイナンバーの対応のポイントを紹介します。

対象者からマイナンバーを収集する

企業は源泉徴収票の発行や社会保険の手続きなどでマイナンバーを記入しなければならないため、対象者からマイナンバーの収集が必要です。マイナンバーを収集・取得する対象者は、全従業員、従業員の扶養家族、個人取引先、株主などが挙げられます。なお、従業員にはパート・アルバイトも含まれます。取得時には別人による本人のなりすましを防止するため、本人確認を行わなければなりません。

マイナンバーを取得するときには、対象者に向けて利用目的を提示する必要があります。ただし利用方法は、法律で社会保障、税、災害対策に限定されています。

規定範囲の中で利用する

マイナンバーは利用目的に応じて、資料作成や手続き時に活用できます。マイナンバー取得時に示した利用目的の範囲でしか使えないため、社員番号としてマイナンバーを利用することはできません。利用目的は法律で定められており、以下の目的において使用することができます。

マイナンバー(個人番号)の利用目的の例

税関係 源泉徴収票、給与支払報告書、支払調書など
雇用保険関係 雇用保険被保険者資格取得(喪失)届など
健康保険・厚生年金関係 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得(喪失)届など

適切に保管・廃棄する

基本的に、企業はマイナンバーを利用する目的がなくなった時点で廃棄しなければなりません。継続利用することが分かっている場合は、ガイドラインで示されている保管体制を築くなどの適切な方法を取ることで保管が可能となります。継続利用する例として、従業員と雇用契約が継続している、取引先との契約が継続しているなどが挙げられます。

保管、廃棄する場合は、情報漏えいを防ぐためにセキュリティ対策の実施が必要です。第三者によって悪用されると企業の管理体制が問われ、企業の信用が損なわれるというリスクがあります。

マイナンバーカードの活用法

マイナンバーカードはマイナンバーが反映されている顔写真入りのカードで、以下のように活用できます。 マイナンバーカードの活用例

  1. 公的な身分証明書として使える
  2. コンビニで以下の証明書を発行できる

    ・住民票の写し
    ・住民票記載事項証明書
    ・印鑑登録証明書
    ・各種税証明書
    ・戸籍証明書(全部事項証明書・個人事項証明書)
    ・戸籍の附票の写し
    ※市区町村によって取得できる書類が異なるので、確認が必要です。

  3. 確定申告などの行政手続きをオンラインでできる
  4. マイナポータルを利用できる
  5. 健康保険証として使える

    ※健康保険証利用は今後本格運用される見込みです(2021年4月時点)

今後は、マイナンバーカードと個人の銀行口座との紐付けや運転免許証との一体化などが検討されており、さらなる活用範囲の拡大が予想されます。

マイナポータルによる年末調整簡略化

マイナポータルと言われる政府のオンラインサービスと政府が提供する「年調ソフト」を活用することで、今まで書類で行っていた年末調整の手続きの負担を一部軽減できます。

従来は、企業は従業員に控除申告者や控除証明書などを紙で提出させていましたが、マイナポータルによって年末調整に必要な資料がデータで管理できるため、労務担当者の書類回収・仕分け・保管などの手間が省略できます。従業員からの問い合わせ対応への負担も軽減できる見込みです。

まとめ

マイナンバー制度の導入によって、企業は従業員のマイナンバーの取得、利用、保管・廃棄を適切に実施することが義務付けられました。人事、労務担当者にとってはマイナンバーの運用・管理業務が増える一方で、従来の紙を主流とした税・社会保険の手続きをシステム上で行うことができるため、業務効率化が進みやすくなります。
マイナンバーを証明するマイナンバーカードの活用範囲は今後さらに広がり、企業にとっても利用する場面が増えると予想されるため、安全な管理体制の構築を行う必要があります。

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