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【社労士監修】最新版!人事労務の法改正まとめ:2027年施行に向けた完全対応ガイド

公開日時:2026.08.06

2026年から2027年にかけて、人事・労務担当者にとって対応必須の法改正が集中します。少子化対策、女性活躍推進、高齢者就労支援、ハラスメント防止、社会保険の適用拡大など、複数の政策課題が同時並行で法制化される、いわば「制度対応の集中期」です。
企業の対応もれは、企業の法的リスクだけでなく、採用・定着面での競争力低下にも直結します。そこで本記事では、2027年施行に向けた主な法改正の概要をダイジェストでわかりやすくご紹介します。

月別実務チェックリストつきのフル版は、以下よりダウンロードいただけますので、ぜひあわせてご覧ください。
「【社労士監修】人事・労務担当者必携!2026年/2027年法改正 完全対応ガイド」
井上 敬裕 氏

井上 敬裕 氏

中小企業診断士・社会保険労務士

青果加工場の工場長を約9年間務めた後、40歳の時に中小企業診断士として独立。販路開拓支援、事業計画作成支援、6次産業化支援、創業支援などを行う。
平成27年社会保険労務士として開業し、給与計算を中心に労務関連業務を行っている。

社会保険労務士法人アスラク 代表社員
https://sr-asuraku.or.jp/about/

本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正の最新情報は各省庁の公式サイト等でご確認ください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスを構成するものではありません。

【2026年・2027年】人事労務に関する法改正一覧

2027年までに施行される予定の法改正のなかから、人事・労務分野に影響する主な項目を、施行日順に整理しました。

施行時期法改正対応優先度
2026年4月子ども・子育て支援金制度(給与明細変更)★★★ 最優先
2026年4月女性活躍推進法(101人超の企業:賃金差異公表義務)★★★ 最優先
2026年4月高年齢労働者安全対策努力義務(全事業所)★★☆ 重要
2026年7月障害者雇用率 2.7%へ引き上げ★★☆ 重要
2026年10月カスハラ防止措置義務化★★★ 最優先
2026年10月就活セクハラ防止措置義務化★★☆ 重要
2027年(予定)社会保険適用拡大(コスト試算が急務)★★★ 最優先
2027年(予定)労働基準法大改正(40年ぶりの抜本改正)★★★ 最優先
2028年5月ストレスチェック全事業所義務化★★☆ 重要
2028年10月雇用保険適用拡大★★★ 最優先
施行時期は変更される場合があります。必ず官公庁の最新情報をご確認ください。

次の章からは、個別の法改正についての概要や対象となる企業、具体的な対応方法などを順に解説していきます。

2026年施行の法改正

2026年に施行される人事労務関連の重要な法改正は主に6つあります。

① 子ども・子育て支援金制度(2026年4月〜)

少子化対策の財源確保を目的として、2026年4月より健康保険料に上乗せするかたちで段階的に徴収が始まるのが、この「子ども・子育て支援金」です。企業は事業主負担分・被保険者負担分を合わせて納付する必要があります。

企業の主な対応

企業の主な対応は以下のとおりです。

  • 給与明細・賞与明細へ新たな控除項目を追記
  • 給与計算システムの改修
  • 従業員への制度説明、Q&A対応など

徴収額の目安(標準報酬月額28万円の場合)

2026年5月時点の報道・試算に基づく目安は以下のとおりです。

年度被保険者負担(目安)事業主負担(目安)合計(目安)
2026年度(月額目安)約322円被保険者負担と同額約644円
2027年度約410円被保険者負担と同額約820円
2028年度(満額)約527円被保険者負担と同額約1,054円
最終料率はこども家庭庁告示で確定します。必ず最新情報をご確認ください。

社労士のポイント解説

注意点として、従来からある「子ども・子育て拠出金」はそのまま継続されます。「支援金」と「拠出金」は名前が似ていることから混同されやすいですが、仕組みは異なります。

支援金は健康保険料に上乗せされる新制度で「労使折半」の負担ですが、拠出金は「事業主のみ」が負担する従来の制度です。給与明細の表記を統一し、違いを社内で共有しておくと誤処理を防ぎやすくなります。

② 女性活躍推進法(2026年4月〜)

2026年4月から、常時使用する労働者が101人以上300人以下の企業にも、以下の2項目の公表が義務化されています

  1. 男女間賃金差異:女性の平均年間賃金 ÷ 男性の平均年間賃金 × 100
    (全労働者・正規・非正規の3区分で算出)
  2. 女性管理職比率:課長相当職以上の管理職に占める女性の割合

公表先は厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」または自社HPで、初回公表の期限は2026年7月末(予定)です。

社労士のポイント解説

初回公表では、男女の職種や役職の構成の違いがそのまま数字に反映されるため、想定より差異が大きく見える企業も少なくありません。 特に営業・技術・管理職で男女比率に開きがある企業は、数値が際立ちやすい傾向があります。 

公表前に男女の配置状況と評価・手当の運用を整理しておくことで、背景を説明しやすくなります。 社内外に向けて「なぜこの数字になるのか」を簡単にまとめた説明文を用意しておくと、誤解の防止につながります。

③ 高年齢労働者の労働災害防止(2026年4月〜)

改正労働安全衛生法により、高年齢労働者(55歳以上が目安)の労働災害防止への取り組みが、中小企業においても努力義務として明確化されます。

対策の3つの柱

以下3つの柱を軸に、積極的な対策を講じることが求められます。

  1. リスクアセスメントの実施(転倒・腰痛・熱中症リスクの洗い出しなど)
  2. 作業環境・設備の改善(段差解消、手すり設置、照明の改善など)
  3. 安全教育・健康管理(高年齢者向け安全衛生教育の実施、定期健診結果を踏まえた就業配慮など)

社労士のポイント解説

高年齢者の労災は、転倒・腰痛・熱中症の3つが中心です。 段差・床面の状態・照明といった事故が起きやすい箇所を重点的に点検し、写真つきで記録を残しておくと、後の説明がスムーズになります。

④ カスタマーハラスメント(カスハラ)防止措置義務化(2026年10月〜)

全企業の事業主を対象に、顧客・取引先などのカスタマーハラスメントから従業員を守るための対策を講じることが義務づけられます。

カスハラへの対応は、以下3つの段階で整備します。

  1. 予防:社内方針の策定・周知、顧客向け告知文の設置など
  2. 発生時:従業員への対応権限付与、上長エスカレーション基準の明確化など
  3. 再発防止:事案の記録・分析、取引停止など

社労士のポイント解説

カスハラ対応は、従業員が一人で判断すると対応がばらつきやすくなります。対応を記録する簡易シートを用意しておくと処理が安定します。 また、悪質なケースに備えて、取引停止の基準を事前に決めておくことも大切です。 定期的に組織内で事例を共有し、対応の標準化を図ることが再発防止につながります。

⑤ 就活セクハラ防止措置義務化(2026年10月〜)

採用選考中の学生・求職者へのセクシュアルハラスメント防止措置が、全企業を対象に義務づけられます。インターンシップ参加者やOB/OG訪問も対象になると解釈されます

面接官のNG行動例

セクハラに該当すると考えられる行動には以下のようなものがあります。

  • 「彼氏(彼女)いますか?」「結婚・出産の予定は?」といった質問
  • 外見・体型への言及
  • 個人SNSや連絡先の要求
  • 「女性(男性)らしく」などの性差別的発言

社労士のポイント解説

就活セクハラは、面接よりもOB/OG訪問やインターンの場面で起きやすいのが実態です。 担当者に悪気がない場合でも、恋愛・結婚・外見に関する質問はハラスメントと受け取られる可能性があります。 企業は、採用にかかわるすべての担当者にNGとなる質問例を共有し、対応基準をそろえておくことが防止策として有効です。

⑥ 障害者雇用率の引き上げ(2026年7月〜)

2026年7月1日より、民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられます。対象企業は常時37.5人以上を雇用する事業主です。

対象2024年4月〜2026年7月〜
民間企業2.5%(常時40人以上)2.7%(常時37.5人以上)
国・地方公共団体等2.8%3.0%

法定雇用率を達成できない企業は、不足人数×月額5万円の雇用納付金を納付する義務があります(常時100人超の企業)。 一方、雇用率を超えて障害者を雇用した企業は調整金を受け取ることができます。

社労士のポイント解説

法定雇用率2.7%への引き上げは、ハローワークからの案内が届いて初めて認識する中小企業も多い改正です。 まずは採用活動の前に社内の業務を洗い出し、「障害者に任せられる業務」を整理しておくと、採用準備がスムーズになります。 

また、未達成の場合に発生する雇用納付金の負担額を早めに試算し、対応方針を決定しておくことも重要です。

各改正内容の詳細は、以下のダウンロード資料でより詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

2027年以降施行予定の法改正

続いて、2027年に施行される人事労務関連の重要な法改正3点を順に解説します。

① 社会保険・雇用保険の適用拡大(2027〜2028年)

社会保険の企業規模要件が、2027年10月から段階的に引き下げられ(常時36人以上の企業が対象)、週20時間以上勤務する短時間労働者への適用がさらに拡大されます。2035年には規模要件が完全撤廃される予定です。

雇用保険は、2028年10月から週10時間以上勤務する労働者まで対象が拡大されます。現在適用外のパートタイム・アルバイトの多くが新たに加入対象となります。

対象従業員の判定基準

2027年の改正後は以下の基準になる見込みです。

基準社会保険(2027年見込み)雇用保険(2028年確定)
週の所定労働時間20時間以上10時間以上
月額賃金撤廃(8.8万円要件なし)
継続雇用期間要件2カ月超の見込み
企業規模要件常時36人以上に段階的引き下げ

社労士のポイント解説

社会保険・雇用保険の適用拡大は、年収の壁とは別に「勤務時間によって加入の要否が決まる制度」 で、企業が混同しやすい点です。 対象者の判定は勤怠データの精度に左右されるため、特にシフト制の職場では、週の労働時間が自動集計できる仕組みになっているか確認しておくと良いでしょう。

② 労働基準法改正(2027年施行予定)

労働基準法は、1987年のフレックスタイム制導入以来、約40年ぶりとなる抜本的な改正として議論されています。テレワーク・副業・フリーランスなど、現行法の想定を超えた多様な働き方への対応策として、以下の3つの柱があります。

1.多様な働き方

  • 副業・兼業の労働時間通算ルールの簡素化
  • フレックスタイムの清算期間延長
  • テレワークの費用負担・労働時間認定の法定化
  • 裁量労働制の対象業務拡大

2.労働時間規制

  • 労働時間情報の開示義務化
  • 勤務間インターバル(最低11時間)の義務化検討
  • 時間外労働の全業種統一上限規制

3.労使コミュニケーション

  • 過半数代表者の選出プロセスの透明化・法定化
  • 労使協議会の設置促進、協議テーマの拡大
  • 電子投票の活用を明示的に認める方向

社労士のポイント解説

今回の改正は、多様な働き方を推進する一方で、労働時間の規制はこれまで以上に厳しくなるという、一見矛盾して見える構造になっています。 勤務間インターバルやフレックスタイムなど、柔軟な働き方ほど勤怠管理の精度が求められます。 2026年の段階で、現在の勤怠システムが対応できるかを確認しておくと、混乱を防ぎやすくなります。

③ ストレスチェック全事業所義務化(2028年5月までに施行予定)

現在50人以上の事業所に義務づけられているストレスチェック(年1回)が、50人未満を含む全事業所へ拡大される見通しです。

小規模事業所が整備すべき体制

  • 実施者の確保(産業医・保健師・外部機関への委託も可)
  • ストレスチェックツールの選定(厚労省推奨:職業性ストレス簡易調査票57項目)
  • 高ストレス者への医師面接指導

社労士のポイント解説

ストレスチェックはこれまで、50人未満の事業所では努力義務にとどまっていたため、小規模企業ではあまり浸透していないのが実情です。 義務化後にまず問題になるのが「実施者の確保」であるため、外部機関への委託が必要な場合は、早めに候補を探しておく必要があります。 2027年中に依頼先を決めておくと、施行時に慌てずに済みます。

法改正に対応する3つのポイント

人事労務にかかわる法改正が相次ぐなか、担当者に求められるのは個別の制度対応だけではありません。ここでは、対応を確実に進めるための実務上のポイントを解説します。

①段階的施行への計画的な対応

2026年は4月・7月・10月と、3つの施行タイミングが1年間に集中しています。それぞれの対応を個別にこなすのではなく、年間のロードマップとして全体を見渡しながら、並行して準備を進めることが重要です。

2027年施行予定の社会保険・雇用保険の適用拡大と労働基準法改正は、企業の財務・人事制度への影響が特に大きく準備に1〜2年を要します。影響試算・対応方針の決定・システムや規程の改修という一連のロードマップを、2026年中に策定しておくことが推奨されます。

②労働時間・勤怠データの精緻化

「勤怠管理はしているから大丈夫」と思っていても、記録の精度が不十分なケースは少なくありません。2027年に予定される社会保険の適用拡大では、パートやアルバイトの労働時間が正確に集計されていないと、加入対象者の把握や追加コストの試算を誤るリスクがあります。

また、同時期に予定される労働基準法の改正では、勤務間インターバルの管理機能や、従業員が自分の労働時間を確認できる仕組みの整備が求められる方向です。現在の勤怠管理システムがこれらに対応できるか、今のうちに確認しておきましょう。

③社内体制の整備

複数の法改正が重なるなか、人事・労務担当者だけで全対応を抱え込むのは現実的ではありません。法令解釈は顧問社労士、システム改修は情報システム部門、規程見直しは法務部門といったように、関係部署を早期から巻き込んだ推進体制を整えることが重要です。

より詳しい内容をまとめた「【社労士監修】人事・労務担当者必携!2026年/2027年法改正 完全対応ガイド」では、月別の実務対応カレンダーやチェックリストを確認できます。社内体制の整備にぜひご活用ください。

まとめ

2026年から2027年にかけて、人事・労務担当者が対応すべき法改正は多岐にわたります。子ども・子育て支援金制度や女性活躍推進法のように今すぐ準備が必要なものから、社会保険の適用拡大や労働基準法改正のように1〜2年先を見据えた対応が求められるものまで、施行時期も内容も異なる改正が同時並行で進んでいきます。

重要なのは、それぞれの改正を個別にこなすのではなく、年間ロードマップとして全体を見渡しながら、優先順位をつけて計画的に動くことです。また、人事・労務担当者だけで抱え込まず、関係部署や顧問社労士と連携しながら社内体制を整えることが、対応もれを防ぐ大きなポイントになります。

【社労士監修】人事・労務担当者必携!2026年/2027年法改正 完全対応ガイド

本記事でご紹介した内容のフルバージョンとして、「【社労士監修】人事・労務担当者必携!2026年/2027年法改正 完全対応ガイド」には以下のコンテンツを収録しています。

  • 各法改正の制度概要・実務対応・チェックリスト(全法改正対応)
  • 2026年 月別実務対応カレンダー(1月〜12月)
  • 4月・6〜7月・11〜12月など重要月の「つまずきポイント」解説
  • 入退社手続き・36協定更新など随時発生する業務のチェックリスト
  • 2027年対応準備の総合チェックリスト(社会保険・労基法改正)
  • 法改正情報の収集に役立つ主要ソース一覧

人事労務の現場ですぐに使える実務情報を網羅しています。対応もれの防止はもちろん、社内説明資料やシステム改修の検討資料としてもご活用いただけます。法改正対応を確実に、そしてスムーズに進めるために、ぜひダウンロードしてご覧ください。

本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正の最新情報は各省庁の公式サイト等でご確認ください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスを構成するものではありません。

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