業務改善ガイド

スーパーフレックス制度とは?メリット・デメリットや導入手順を紹介

公開日時:2024.01.11

スーパーフレックス制度はコアタイムがなく、柔軟に労働時間を調整できる制度です。導入により、労働者の流出防止や労働生産性の向上などの効果が期待されます。
その一方で、社内規則や労使間の協定締結、勤怠管理体制の整備など、導入時の注意点も複数あります。この記事では、スーパーフレックス制度を導入する際の注意点を紹介します。同制度の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

スーパーフレックス制度とは

スーパーフレックス制度とは、フレックスタイム制度をベースにさらに自由度の高い働き方を可能にした勤務形態です。

従来のフレックスタイム制度は、コアタイムという「勤務しなければならない時間」が決められていましたが、スーパーフレックス制度にはそれがありません。働き方改革のなかで、労働者が子育て・家事や、そのほかのプライベートの予定と両立しながら、自由度高く働ける環境を実現する制度といえます。

スーパーフレックス制度とフレックスタイム制度、裁量労働制との違い

スーパーフレックス制度と、フレックスタイム制度・裁量労働制との違いを説明します。

フレックスタイム制度との違い

フレックスタイム制度とスーパーフレックス制度の違いはコアタイムの有無です。フレックスタイム制度では、労働者が必ず出勤しなければならないコアタイムを設定しなければなりません。スーパーフレックス制度にはコアタイムがないため、フレックスタイム制度以上に自由に労働者が業務時間を調整できます。

コアタイムのない裁量労働制との違い

裁量労働制は、働き方はスーパーフレックス制度に近いものの、勤務時間の考え方が異なります。裁量労働制では、労働実態の有無にかかわらず、あらかじめ取り決められた時間の労働を行ったものとみなして管理します。

スーパーフレックス制度では、労働者が実際に働いた時間をもとに勤務時間を計算します。また、裁量労働制の対象業務には一定の限度がありますが、スーパーフレックス制度は労使協定を締結するなど、適切に対応すれば業種・職種の制限はありません。

スーパーフレックス制度のメリット・デメリット

スーパーフレックス制度のメリット・デメリットを整理しました。双方を理解したうえで、自社の職場環境に適切かどうか検討してみてください。

スーパーフレックス制度のメリット

スーパーフレックス制度には、次のようなメリットがあります。

ワークライフバランスの向上

会社の定時にとらわれずに、従業員それぞれの都合に合わせて自由に勤務時間を調整できるため、ワークライフバランスを維持しやすくなります。

採用における差別化

子育てや家庭の事情などで、日中の労働時間を確保しにくい人材でも雇用が可能です。また、同制度を採用する企業は従業員の事情に柔軟に対応できる企業として印象づけられ、採用活動を有利に進められるでしょう。

人材の流出防止

家事や育児、介護などのプライベートな事情を理由に、定時の労働時間の確保が難しくなった人材の流出を防止できます。無理のないスケジュールでプライベートと仕事を両立できるため、従業員のモチベーション維持にも有効です。

労働生産性の向上

個々の都合や業務状況に合わせて自由に労働時間を設定できるため、時間をより有効に活用できます。それぞれが最大のパフォーマンスを発揮できるタイミングに仕事ができるため、生産性向上につながるでしょう。

長時間労働の解消

業務内容に合わせて柔軟に業務時間を調整すれば、長時間労働の解消にもなります。例えば、海外とのやりとりが多い仕事であれば、業務時間を夕方~夜間にずらすことも可能です。

スーパーフレックス制度のデメリット

スーパーフレックス制度には、下記のようなデメリットも存在します。

コミュニケーションがとりにくくなる

業務時間が異なる従業員同士のコミュニケーションがとりにくくなるおそれがあります。また、すべてのチームメンバーが夜間対応していて、日中の顧客対応に支障が生じるケースも考えられます。社内外のコミュニケーション方法を整備し、ストレスを与えない範囲で互いの業務時間を調整する必要があるでしょう。

会議や打ち合わせの時間調整が困難になる

全員がそろうタイミングがなければ、会議や打ち合わせの調整が難しくなります。従業員の意向を聞きながら、計画的にスケジュール調整をしなければなりません。Web会議システムを活用して、オフィス外から参加できるかたちで実施するなどの工夫が必要です。チャットやメールを積極的に活用して、全員が集まる会議を減らす工夫も有効です。

有給休暇取得率が低下する

従来は有給休暇を取得する必要があった予定を、仕事の合間に対応した結果、有給休暇取得率が減少する可能性があります。従業員の心身をリフレッシュするために、有給休暇はしっかりと取得してもらわなければなりません。管理者は有給休暇取得を従業員に促し、柔軟に取得できる環境を整備する必要があります。

勤怠管理が複雑になる

従業員によって業務時間や残業時間の計測がばらばらになると、勤怠管理が煩雑化します。勤怠管理システムを導入して管理を自動化することで、データ不備や不注意による法令違反を予防できます。

顧客対応や店舗営業などの観点から採用できない場合も

日中に顧客対応が発生する、店舗が日中営業であるなどの理由でスーパーフレックス制度が機能しない職場もあります。制度の導入に過度に固執せず、部署ごと、組織ごとに従業員が働きやすい勤務体系を導入する必要があるでしょう。勤怠管理システムを活用すれば、企業内で複数の勤務体系が併存していてもスムーズな管理が実現します。

スーパーフレックス制度を導入する際の注意点

スーパーフレックス制度をスムーズに導入するためには、必要な届け出や労使間の協定締結などを忘れずに実行しなければいけません。また、制度開始後の労務管理をスムーズに行うためには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。

労使協定の締結

スーパーフレックス制度を導入する際には、事業所の過半数の労働組合もしくは過半数の事業所の代表者と労使協定を締結しなければなりません。締結する際には、以下の内容を決めておく必要があります。

  • 対象となる労働者の範囲
  • 清算期間(1~3ヵ月の間で取り決めが可能)
  • 清算期間中の総労働時間
  • 1日の標準労働時間

このほか「フレキシブルタイム」として、始業・終業する時間帯を制限することも可能です。

就業規則への記載

労働基準法において、就業規則への記載も義務づけられています。例えば、スーパーフレックス制度の導入を選択制とする場合、労使協定の一部を利用すると、次のような簡潔な記載方法が考えられます。

労働基準法第32条の3第1項に定めたとおり労使協定を締結し、スーパーフレックス制度を適用する従業員は、労使協定で定める時間帯の範囲内において、始業・就業の時間を自由に設定できる。

清算期間が1カ月を超える場合は労働基準監督署長へ届け出が必要

清算期間とは、フレックスタイム制度において労働者の勤務時間を定め、また、実労働時間を計算する単位です。月給に合わせて1カ月単位で設定するケースが多いものの、繁忙期・閑散期の調整をつけやすくするための2~3カ月の清算期間も設定可能です。

ただし、2カ月もしくは3カ月を清算期間とする場合には、管轄の労働基準監督署長への届け出が必要となります。

勤怠管理システムなどで勤務時間を正確に管理する仕組みを整備

スーパーフレックス制度を導入すると勤怠管理が煩雑化するため、あらかじめ効率的でミスの出にくい管理体制を整備しておく必要があります。タイムカードなどによる従来型の管理体制では管理者の負担が増大するため、勤怠管理システムを導入して自動化・効率化するのがおすすめです。

スーパーフレックス制度のもとでは、清算期間における所定労働時間を超えた労働時間に対して残業代が発生します。日々の労働時間や週次の労働時間を見るだけでは残業時間が計算できないため、管理が煩雑化しがちです。スーパーフレックス制度に対応した勤怠管理システムを導入すれば、複雑な勤怠管理が自動化されるため、スムーズな管理が実現します。

まとめ

スーパーフレックス制度を導入すれば、従業員は家事・育児や、そのほかのプライベートの予定と両立しながら柔軟に業務を遂行できます。今回紹介した注意点に留意しながら、多様な人材を雇用して労働生産性を高めるためにも、導入を検討しましょう。ただし、スーパーフレックス制度を導入すると、勤怠管理が煩雑化する傾向があります。制度開始に合わせて勤怠管理システムを導入して、効率的でミスのない管理体制を整備してください。

スーパーフレックスの勤怠管理に最適な勤怠管理システム「VG Cloud」

GUIDE

勤怠管理のパイオニア「AMANO」のノウハウをぎゅっと凝縮してお届けします!

01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

全てを1つの資料にまとめた総集編「勤怠管理の選び方完全ガイド」無料配布中!

「高いシステムと安いシステムでは何が違うのか」を徹底解説