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勤務間インターバル制度を導入して翌朝の始業を遅らせた場合、その時間は「欠勤」として給与をカットしても問題ないでしょうか?

労働基準法改正による「勤務間インターバル制度」の義務化が検討されるなか、自社での先行導入を検討する企業も出てきています。制度運用において大きな論点となるのが、インターバル確保のために翌朝の始業を遅らせた時間に対する給与の扱いです。

法的には「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいて不就労分を無給とすることも可能です。ただし、福利厚生やモチベーション維持の観点から、給与を支払う(有給扱いとする)運用も考えられます。
公開日時:2026.05.13
詳しく解説
大友 大 氏

大友 大 氏

社会保険労務士

大手資格予備校にて、制作課チーフとして社労士試験必修テキストの執筆、全国模試の監修を行う。

平成20年より都内の社会保険労務士事務所に勤務ののち、平成26年に開業。

給与計算業務を中心に行いつつ、労務にまつわるさまざまな問題に取り組む。

大友労務管理事務所 代表

Q. 勤務間インターバル制度を導入して翌朝の始業を遅らせた場合、その時間は「欠勤」として給与をカットしても問題ないでしょうか?

働基準法の改正を見据え、自社でも「勤務間インターバル制度」の導入を検討しています。終業から次の始業まで、11時間の休息時間を確保するルールにする予定です。
そこで悩んでいるのが、前夜の残業が長引き、翌朝の始業時間を遅らせた場合の給与計算です。遅刻した場合と同じように、働かなかった時間分を「欠勤」として給与からカット(控除)しても法的に問題ないのでしょうか。実務上の適切な運用方法を教えてください。

A. 法的には無給も可能ですが、実務上は「有給扱い」とするのが一般的です

勤務間インターバル制度を導入して始業時間を繰り下げた場合、その不就労分の給与をどう扱うかは制度定着の成否を分ける重要なポイントです。

法的な観点に立てば、民法第624条労働基準24条などを根拠とする「ノーワーク・ノーペイの原則」により、働かなかった時間分を欠勤として給与控除することは可能です。
これは企業の権利として認められる運用です。その一方で、前日深夜残業対応にあたった従業員の努力が翌日の減給というかたちであらわれることは、モチベーションの低下や制度そのものの形骸化を招くリスクがあります。
そのため、実務上は解決策として「不就労分を労働したものとみなして給与を保障する(有給扱い)」手法が有力な選択肢のひとつとして検討されます。
また、給与を控除せず、かつ労働時間も変動させない方法として、始業を遅らせた時間分だけ終業時刻も後ろにずらす「勤務時間のスライド(繰り下げ)」という運用も存在します。
勤務間インターバルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

勤務間インターバル制度導入時の「始業繰り下げ」の仕組み

務間インターバル制度は、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までに一定の休息時間を確保する仕組みです。現在、労働基準法改正の審議では、この休息時間の「義務化」と、基準となる時間として「11時間」の確保が目安として検討されています。

例えば、所定労働時間が「9時~18時」の会社で、11時間のインターバル(休息時間)を導入したとします。突発的なトラブル対応で退勤が「深夜24時」になった場合、11時間の休息を確保するためには、翌日の出社時刻は「午前11時」以降となります。

このとき、本来の始業時間である午前9時から、実際に業務を開始できる午前11時までの「2時間」をどのように扱うかが、実務上の大きな課題です。

なお、固定勤務制を採用している企業では、このような始業の後ろ倒しが頻繁に発生すると、従来の業務プロセスや組織運営に支障を来す可能性があります。そのため、例えば「退勤限度時刻を22時とする」といった運用上の歯止めを設け、大幅なインターバル超過が生じにくい環境を整える企業も想定されます。制度の導入にあたっては、給与の取り扱いルールの整備とあわせて、こうした運用面での制約設計も検討に値します。

始業時間を遅らせた部分の給与はどう扱うべきか?

務間インターバルの確保に伴い、翌朝の始業時刻と休息時間が重なった場合の給与の取り扱いには、主に3つの運用パターンが考えられます。

1.「無給」のパターン

本来の始業時刻から実際に勤務を開始した時刻までの不就労分を、給与から控除する運用方法です。法的には問題ありませんが、前日の残業代と翌日の欠勤控除が相殺されるかたちになり、従業員のモチベーション維持という観点からは慎重な検討が必要です。

2.「勤務時間のスライド」のパターン

始業を遅らせた時間分だけ、その日の終業時刻を後ろにずらす運用方法です。例えば、所定労働時間が「9時~18時」の会社で午前11時に出社した場合、終業を18時から20時に変更します。この方法では1日の所定労働時間が維持されるため、賃金の減少は発生しません。ただし、終業時刻が恒常的に夜間にずれ込むことで、生活リズムの乱れや深夜労働の増加を招くリスクがあります。制度の本来の趣旨である「休息の確保」と矛盾しないよう注意が必要です。

3.「労働したものとみなす(有給扱い)」のパターン

繰り下げた時間を「労働したものとみなす(有給扱い)」とする運用方法です。本来の始業時刻から実際に出社した時刻までを勤務時間としてカウントし、終業時刻も所定通りとします。

2027年以降の労働基準法改正と義務化を見据えた対応

在、勤務間インターバル制度は企業の「努力義務」にとどまっています。しかし、現在審議中の労働基準法の改正論議において、健康確保の観点から、いよいよ制度の義務化へ向けた検討が本格化しています。

勤務間インターバル制度が義務化された場合、就業規則への記載はもちろん、実務に即した例外規定の整備も必要です。例えば、災害時の対応や予期せぬ業務上のトラブルなど、事業継続のためにどうしてもインターバルを確保できない緊急時のルールをあらかじめ定めておく必要があります。

制度の導入には、現場の理解と業務フローの見直しが不可欠です。義務化が確定してから慌てて取り組むのではなく、今から段階的に導入の準備を進めることが求められています。

手作業での管理は限界。自動化の仕組みが必須です

務間インターバル制度を導入すると、前日の終業時刻に応じて翌日の出勤可能時刻が従業員ごとに変動することになります。対象者が多い企業、これらをエクセルやタイムカードを用いた目視で毎日管理し続けることはきわめて困難であり、運用自体が限界を迎えかねません。

前日の打刻実績から翌日の適正な始業時刻を自動で計算し、休息不足を瞬時に判別できる勤怠管理システムの活用は、管理の正確性を高めるうえで非常に重要になります。

管理職が部下のインターバル不足をリアルタイムで把握できる体制が整っていなければ、制度はすぐに形骸化するリスクがあります。法令遵守と従業員の健康保護を両立させるためには、システムによる自動管理のフローを早期に構築し、運用の負荷を軽減することが推奨されます。

 

中堅・大手企業が導入を成功させるためのシステム要件

務間インターバルの導入を成功させるには、勤怠管理システムに特定の機能が求められます。

最も有効なのが、11時間の休息が確保できない場合に自動で警告を出す「アラート・自動制御機能」です。インターバルの時間を満たさない状態での出勤打刻に対し、エラーメッセージを表示させて注意を促すといった制御機能、適正な運用を強力にサポートます。

また、複雑な就業規則や独自の計算ロジックに合わせた柔軟な設定・カスタマイズが可能なことも大切です。例えば、繰り下げた時間を「労働したものとみなす(有休扱い)運用方法」であれば、不就労分を給与控除の対象外に設定して正しい集計が可能です。給与計算システムへスムーズにデータ連携させることで、手作業によるミスや工数を大幅に削減できるでしょう。

多様な働き方や将来の法改正にも柔軟に対応できるよう、自社の運用に合わせたカスタマイズや連携が可能なシステム要件を、今のうちから見直しておくことが推奨されます。

まとめ:給与の保障とシステムの自動化が導入のポイントです

勤務間インターバル制度を導入する際、始業を遅らせた時間を無給にすると、現場のモチベーション低下を招くおそれがあります。従業員の健康を守るという本来の目的を達成するためには、有給扱いとする運用が有効な選択肢のひとつです。

また、制度の運用には毎日の細かな時間計算が伴うため、手作業での労務管理は限界を迎えます。今後の法改正の動向を見据え、今から運用ルールの策定とシステムの要件定義を進めましょう。

現場に負担をかけず、自動的に法令遵守ができる基盤を整えることが、リスク回避と働き方改革の第一歩となります。

勤務間インターバルの自動管理に対応するアマノの「TimePro-eX」

勤務間インターバル制度の導入には、従業員ごとに異なる休息時間の算出や、始業繰り下げに伴う給与計算の自動化、リアルタイムでの状況把握が求められます。これらを正確かつ継続的に処理するには、自社の就業規則に適応する勤怠管理システムの活用が欠かせません。
累計5万件以上の導入実績を持つアマノが提供する「TimePro-eX」は、1,000項目を超えるパラメータ設定により、11時間のインターバル不足を自動検知するアラート機能や出勤打刻の制御機能を柔軟に構成できます。有給扱い・無給・勤務時間スライドといった自社の運用ルールに合わせた給与計算にも対応し、手作業によるミスや工数を大幅に削減します。
将来的な義務化を見据え、労務リスクの未然防止とスムーズな制度導入を実現したい企業の皆様は、「TimePro-eX」の製品情報ページをご確認ください。

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