勤怠管理ガイド
カスタマイズは本当に必要?勤怠管理システムはノンカスタマイズがおすすめな理由
公開日時:2023.10.26 / 更新日時:2024.06.13

実は、働き方改革による多様な働き方への適応をめぐって、勤怠管理を取り巻く状況は目まぐるしく変化しています。その変化に迅速に適応するため、勤怠管理システムは多機能化が進んでいるのです。
本記事では、勤怠管理システムにおける「カスタマイズ」の意味や必要性やリスクについて解説します。
勤怠管理システムの違いについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
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勤怠管理システムに求められる機能
勤怠管理システムは、労働基準法などの法令を遵守しながら、効率的に従業員の勤怠状況を管理するために導入されます。まずは、勤怠管理システムに求められる要件を整理しましょう。
そもそも「勤怠管理」とは
勤怠管理の目的は、労働基準法をはじめとする法律に従って、従業員の働き方や労働時間を把握し管理することによって、労働環境や給与、および従業員の心身の健康を守ることです。
働き方改革の実現が求められる現代は、テレワークやフレックスタイム制度、時短勤務などのように就労形態が多様化しています。オフィスに出社してタイムカードを打刻するような従来の勤怠管理では対応できない働き方や、複雑さを増す管理業務の効率化のために、勤怠管理システムは欠かせないツールです。
働き方改革に対応するため、勤怠管理システムに求められる機能は次のとおりです。
豊富な打刻方法がある
多様な働き方に対応するためには、パソコン、モバイル機器、ICカードなどのマルチデバイスに対応した打刻方法が望まれます。
働き方が多様化すると、営業日だからといって皆がオフィスに集まるわけではなくなります。そのため、自宅や外出先などのオフィス外からでも簡単に打刻できる必要があります。ひとつの打刻方法ですべての働き方に順応させることは困難なため、多様な方法に対応したシステムが望ましいといえるでしょう。
適切な法令遵守がサポートされている
勤怠管理は、過重労働や休暇の未取得などの法令違反を防ぐことも重要なタスクです。勤怠管理システム導入により、従業員の勤務状況をリアルタイムで一元管理して、法令違反のリスクが高まれば迅速に対処する体制を整えることが重要です。
また、将来の法制度改正の際に、管理の方法やルールをスムーズに変更できる仕組みも必要です。
さまざまなシフトや就労時間に合わせた管理ができる
働き方が多様化するなかでは、就労時間やシフトのパターンも増えると想定されます。例えば、フレックスタイム制を導入すれば「定時」という概念がなくなります。テレワークが増えると、家事や育児などに伴う一時的な中抜けを希望する人が増える可能性もあるでしょう。
適切な勤怠管理システムの導入により、さまざまなシフトや就労時間に適応し、スムーズな勤怠管理を実現させることが望ましいでしょう。
リアルタイムで状況確認できる
リアルタイムで従業員の勤怠状況を把握できることも大切です。月次締めのタイミングなどで過重労働が判明しても対応できません。有休取得不足も、把握が遅れればそれだけ対処が難しくなります。
勤怠管理システムの機能を活用して、従業員の日々の状況を把握すれば、過重労働や有休取得不足のリスクに早めに対応し、適切な労務管理を行えます。
集計機能
多数の従業員の勤怠状況を集計・データ化することは、人事業務(給与計算など)の効率化につながります。勤怠状況を人事評価にスムーズに反映することもできるでしょう。
また、集計結果を分析して、労務管理や勤務体系、組織の課題などを洗い出せる場合もあります。従業員の労働量にばらつきがあれば是正し、全体の労働量が増えていれば、組織の拡充や業務効率化の対策が必要であることがわかります。充実した集計機能があれば、勤怠管理や人材管理の高度化につながるのです。
これらの機能は、多くの勤怠管理システムで標準パッケージ、またはオプションとして提供されています。システム開発を伴うカスタマイズの必要はなく、自社に合わせた設定で最適化できると考えていいでしょう。
ただし、製品によってシフトのパターン、集計できる項目、申請フローなどの自由度が異なるため、選択の際には注意が必要です。
勤怠管理システムのカスタマイズは必要か?
勤怠管理システムにカスタマイズが必要なケースを解説します。
そもそもシステムの「カスタマイズ」とは?
システムにおける「カスタマイズ」とは、自社の要件に適した仕様にすることを指します。カスタマイズには、パッケージの範囲内で対応可能なケースと、パッケージ範囲外となる追加機能開発を加える必要があるケースの2種類があります。
企業独自の就業ルールがある、シフトのパターンが多く勤務体系が複雑といったケースは少なくありません。そのような場合、勤怠管理システムを自社に合わせてカスタマイズする必要があると思われがちです。
しかし、勤怠管理システムの多くは多機能化が進んでおり、個別にカスタマイズをしなくても、企業それぞれの課題やニーズに合わせて構築しやすくなっています。
勤怠管理システムのカスタマイズが必要なケース
前述のように、勤怠管理システムに求められる機能の多くは、パッケージとして標準的に提供されています。しかし、以下のような場合にはシステム開発を伴うカスタマイズが必要になることがあります。
カスタマイズが必要になる例
- 外部システムとの連携時、受け手に合わせてデータの変換を行いたい
- パッケージ範囲を超えた独自の画面レイアウトにしたい
勤怠管理システムのカスタマイズが不要なケース
その一方で、カスタマイズではなく、標準機能のパラメータ設定で対応できるケースも少なくありません。
アマノの勤怠管理システム「TimePro-VG」の機能を用いた対応例を紹介します。
1.多種類のシフトパターンに対応したい
夜勤や交代勤務など24時間体制の事業所では、シフトパターンが多くなります。
アマノの「TimePro-VG」では、最大9,999のシフトパターンを登録可能です。一般的に、多くの勤怠管理システムは多様なシフトパターンに対応しており、カスタマイズが必要となる可能性は低いといえます。
2.指定条件下でアラートを出したい
「TimePro-VG」では、アラートの発動条件や表示文言などを自由に設定できます。例えば、従業員情報に登録されている誕生月を判定し、「来月は誕生月です。誕生日休暇を申請してください」と1ヶ月前にアラートを通知することができます。
3.拠点ごとに36協定の内容が異なることに対応したい
36協定は事業場単位で締結するため、拠点ごとにその内容が異なるのはよくあることであり、多くの勤怠管理システムで対応しています。「TimePro-VG」はパッケージの範囲内で計算区分を分け、区分別に計算式を設定することが可能です。
4.夏季休暇やアニバーサリー休暇など企業独自の休暇を管理をしたい
「TimePro-VG」は年次有給休暇以外の休暇も、有効期限を設定して残数管理が可能です。取得しきれなかった有給休暇を自動で積立有給休暇に移行することも可能です。イレギュラーなものも含めて、休暇の残数管理のほとんどはパッケージ内で完結できます。
5.ログオン・ログオフ時刻を取得したい
パソコンのログオン・ログオフ時刻の取得、連携が可能です。出勤・退勤時刻と比較して退勤~ログオフまでの時間差などを計算することができます。
カスタマイズをおこなった時の勤怠管理システムのメリット・デメリット
それでは、外部システムとの連携や独自画面の開発などのカスタマイズを必要とする場合には、どのようなシステムを選べばよいのでしょうか。
個別カスタマイズが可能な勤怠管理システムはそれほど多くない
クラウド型の勤怠管理システムの多くは個別カスタマイズに対応していません。クラウド型のシステムは主にSaaS型のシステムが多く、他のユーザーと同様の環境を利用しているためです。カスタマイズを可能にするためには、ユーザー専用のクラウド環境を構築するプライベートクラウド、またはユーザー環境にサーバーを設置し、システムをインストールするオンプレミス型のいずれかの方法で導入することになるでしょう。
カスタマイズをおこなった勤怠システムのメリット
・求めていた機能を実装できる
自社の勤怠ルールや業務実態に合わせて要望通りのシステムを設計します。独自の勤怠ルールや業務特性、システム特性などの変更が難しい場合、自社のルールやワークフローにシステム側を適合させることができます。
カスタマイズをおこなった勤怠システムのデメリット
・カスタマイズの開発が生じるため、導入までの期間が通常よりも長い
自社の要望に合わせてプログラムやフレームワークを開発するため、着手から運用開始までに膨大な工数が必要となります。
・初期開発費のほか、カスタマイズに対する保守費用やバージョンアップ費用がかかる
カスタマイズを行う場合は、要件に応じた初期開発費用が必要です。開発費はイニシャルコストだけでなく、ランニングコストに加算されるケースもあるので注意が必要です。また、勤怠管理システムに欠かせない法改正の対応ごとにバージョンアップ費用が必要になる場合もあります。
カスタマイズを行うと、機能や連携の自由度が高いメリットがある一方で、導入にはコストと期間がかさみ、導入後はバージョンアップ対応がしにくいというデメリットがあります。勤怠管理システムの多機能化が進むなかで、カスタマイズが自社にとって本当に必要なのかどうか検討したうえで、最適なシステム導入を実施しましょう。
まとめ
勤怠管理システムには、「法令に適切に対応すること」と「自社に合ったものを導入すること」が求められます。しかし、そのために必ずしもカスタマイズが必要になるとは限りません。
勤怠管理システムを選ぶ際は、カスタマイズできるかどうかを条件にするのではなく、自社の課題を明確にして、その課題を勤怠管理システムの標準機能で解決可能かどうかを検討するとよいでしょう。