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入退室管理とセキュリティ対策の基本 – オフィスや施設を守るシステムの選び方

公開日時:2026.02.17

入退室管理とセキュリティ対策は、オフィスや重要施設への不正侵入を防ぎ、情報漏えいや資産保護を実現する物理的なセキュリティの基盤です。現代の施設管理では、ICカード認証、生体認証、ハンズフリーゲートなど、施設の特性やセキュリティレベルに応じた入退室管理システムの導入が進んでいます。
本記事では、オフィス、病院、学校、工場、データセンターなど多様な施設の管理者向けに、入退室管理の基礎知識から最新システムの選定方法、導入時の注意点まで実践的に解説します。

入退室管理とは何か

入退室管理とは、許可された人物のみが特定エリアへアクセスできるよう制御し、不正侵入や情報漏えいを防止する物理的なセキュリティ対策を指します。

施設におけるセキュリティ事故の約3割は、物理的な侵入や内部不正に起因するといわれています。サーバールーム、薬品保管庫、患者情報管理室、研究施設など、機密情報や重要資産を扱うエリアでは特に厳格な入退室管理が必要です。

従来の鍵による管理では、紛失時の対応コストや入退室履歴の記録が困難でした。現在では電子的な認証技術により、誰がいつどこに入退室したかを正確に記録できます。

セキュリティレベルに応じて、単一認証から多要素認証までの設定可能で、エリアごとに適切なセキュリティ強度を実現できます。

施設が入退室管理とセキュリティ対策を強化すべき理由

入退室管理強化の主要な目的は、情報漏えいリスクの低減、コンプライアンス対応、利用者の安全確保です。

情報漏えいと資産保護

デジタル時代においても、物理的なセキュリティ対策は欠かせません。ネットワークセキュリティだけでは防げないリスクが存在します。

実際、USBメモリやノートパソコンの持ち出し、紙媒体の持ち出しによる情報流出事件は後を絶ちません。入室・入場を制限して、機密エリアへのアクセス自体を制限することで、物理的な情報漏えいリスクを大幅に低減できるのです。

医療機関では患者情報、教育機関では個人情報、製造業では技術情報といったように、守るべき情報は施設によって異なります。適切な入退室管理でこれらの重要情報を保護します。

法規制とコンプライアンス

個人情報保護法では、個人データの安全管理のために適切な措置を講じることが求められています。また、金融商品取引法や医薬品医療機器等法(薬機法)など、業界ごとに法律で厳格な管理体制の整備が義務づけられています。

法令遵守に加えて、ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格)の認証取得においても、入退室管理の記録が要求されます。監査対応では、入退室ログが重要な証拠資料となるため、システム化によるデータの改ざん防止と長期保存が欠かせません。

参考:

安全な環境の実現

セキュリティ強化は、従業員や利用者の安全と安心につながります。不審者の侵入を防ぐことで、安全な施設環境を提供できます。

病院では患者やスタッフの安全、学校では児童・生徒の安全確保が最優先でしょう。オフィスや工場では、従業員が安心して働ける環境づくりが必要です。入退室管理システムは、各施設での安全確保の基盤となります。

また、適切なアクセス制御により責任範囲が明確化することも、内部統制の観点から見て重要な要素です。

入退室管理システムの主な種類と特徴

ICカード認証、生体認証、セキュリティゲート、ハンズフリー認証など、用途やセキュリティレベルに応じて最適なシステムを選択できます。

ICカード認証

最も普及している入退室管理方式です。社員証や入館証と入退室管理を一体化でき、導入コストを比較的抑えられます。FeliCa(フェリカ)やMIFARE(マイフェア)などの非接触ICカードが主流です。読み取り速度が速く、通勤ラッシュ時や混雑時でもスムーズな入退場を実現します。

ただし、カードの紛失や貸し借りのリスクがあります。重要エリアでは、生体認証や暗証番号入力などの他の認証方式との併用が推奨されます。

ICカードと勤怠管理の連動については、以下の記事をご覧ください。

アマノの「ドアセキュリティ」は、ICカード・パスワード・生体認証を柔軟に組み合わせ可能です。1ドアから導入でき、段階的な拡張にも対応します。

生体認証

指紋、静脈、顔、虹彩など、個人の身体的特徴を用いた認証方式です。本人確認の精度が非常に高く、なりすましが困難です。導入コストは高めですが、セキュリティレベルの高いエリアでは投資対効果が期待できます。

指紋認証

生体認証のなかで最も導入コストが低く、小規模施設でも導入しやすいのが特徴です。認証速度が速く、実績も豊富です。ただし、偽造リスクがわずかながら存在するため、最高度のセキュリティが求められるエリアには不向きです。一般オフィスや標準的なセキュリティレベルの施設では十分な性能を発揮します。

顔認証

非接触で認証できる手軽さが最大の魅力です。カメラに顔を向けるだけで認証が完了し、マスク着用時にも対応できる製品が増えています。認証精度は他の方式に比べやや劣りますが、利便性とセキュリティのバランスが取れており、一般オフィスや日常的に利用される施設エントランスなどに適しています。

静脈認証

認証精度が最も高く、最高レベルのセキュリティ性を誇ります。指や手のひらの静脈パターンを読み取る方式で、偽造がきわめて困難です。体内の血管パターンを利用するため、外部からの複製がほぼ不可能という特徴があります。金融機関、研究施設、データセンターなど、高度なセキュリティが求められる場所に適しています。導入コストは指紋認証より高めですが、セキュリティレベルとのバランスで投資対効果が期待できます。

虹彩認証

非接触でありながらきわめて高い認証精度を実現します。ただし、導入コストが非常に高額なため、空港の出入国管理や軍事施設など、十分な予算が確保できる施設に限定されます。

セキュリティゲート

フラッパーゲート、回転式ゲート、スピードゲートなど、物理的に通行を制御する設備です。目視での確認も可能で、抑止効果が高いのが特徴です。

ビルエントランス、病院の制限区域、データセンター入口など、重要施設の境界に設置されます。不正な侵入や共連れ(第三者の不正通過)を防止する効果があります。

ハンズフリー入退場システムとの組み合わせで、利便性とセキュリティの両立が可能です。

アマノの「セキュリティゲート」は共連れ検知機能で不正通過を防止します。人用・車両用を統合管理し、オフィスから工場まで幅広く対応できます。

ハンズフリー認証

スマートフォンやウェアラブル端末を用いた認証が注目されています。カードを取り出す必要がなく、荷物を持っていてもスムーズに通過できます。BLE(Bluetooth Low Energy:省電力の近距離無線通信)やNFC(Near Field Communication:至近距離の非接触通信)を活用した方式が一般的です。既存のICカードシステムからの移行も比較的容易です。

感染症対策の観点からも、非接触・ハンズフリーのニーズは高まっています。医療施設や食品工場など、衛生管理が重要な環境で特に有効です。

アマノの「ハンズフリー入退場管理システム」は、タグやデバイスを身に付けて通過するだけで自動認証を実行します。荷物を持ったままスムーズに入退場でき、リアルタイムで在場状況を把握できます。

入退室管理システムの選び方

施設規模、セキュリティレベル、既存システムとの連携性、運用管理のしやすさを総合的に評価して選定します。

セキュリティレベルの設定

施設内をエリア分けし、エリアごとに必要なセキュリティレベルを定義します。この分類により、過剰投資を避けて、必要な箇所に適切なセキュリティを配置できます。

セキュリティレベル 対象エリア例推奨認証方式アクセス権限者セキュリティ対策の目的
パブリックゾーン ・エントランス
・ロビー
・受付
・展示スペース
・認証不要
・来訪者管理システム
(記録用)
・一般来訪者
・全従業員
・関係者全般
・来訪者の把握と記録
セミパブリックゾーン・一般オフィス
・病棟
・教室
・会議室
・食堂
・ICカード認証
・顔認証
・従業員
・学生/生徒
・患者(制限付き)
・関係部署職員
・関係者以外の侵入防止
・入退室履歴の記録
セキュアゾーン ・管理部門
・手術室
・実験室
・研究室
・機密文書保管室
・ICカード+暗証番号
・指紋認証
・顔認証
・特定部署の職員
・資格保有者
・許可された担当者のみ
・機密情報の保護
・資格者のみのアクセス制御
・詳細な入退室ログ
高セキュリティゾーン ・サーバールーム
・データセンター
・薬品保管庫
・貴重品管理室
・金融資産管理エリア
・静脈認証
・ICカード+生体認証(多要素)
・虹彩認証
・セキュリティゲート併用
・限定された管理者
・特別な許可を得た者
・2名以上の同時入室が必要な場合も
・最高レベルの情報資産保護
・なりすまし防止
・改ざん不可能なログ管理

既存システムとの連携

人事システムや勤怠管理システム、来訪者管理システムとの連携は重要です。マスターデータの二重管理を避け、運用負荷を軽減できます。

医療施設では電子カルテシステム、教育機関では学籍管理システムなど、施設特有のシステムとの連携も検討が必要です。

API連携やCSVインポートなど、柔軟な連携方法を確認しましょう。クラウド型とオンプレミス型の違いも考慮が必要です。

将来的な拡張性も視野に入れます。他の設備管理システムとの統合の可能性を確認しておくと安心です。

運用管理のしやすさ

日々の運用を担当する部門の負担を考慮します。入退室権限の変更頻度が高い場合、直感的な操作画面が求められます。

トラブル発生時のサポート体制も重要な選定基準です。24時間対応が可能か、代替手段が用意されているかを確認しましょう。

コストと投資対効果

初期導入コストだけでなく、ランニングコストも含めた総所有コスト(TCO)で評価します。

メンテナンス費用、ライセンス料、将来の拡張コストを見積もります。セキュリティ事故が発生した場合の損失と比較し、投資判断を行います。

補助金や税制優遇が適用できる場合もあります。DX推進やセキュリティ強化に関する支援制度を調査するとよいでしょう。

導入時に注意すべきポイント

現場ニーズの把握、段階的な導入計画、利用者への教育、継続的な運用改善が重要です。

現場の声を反映する

実際に利用する職員や関係者の意見を収集します。利便性を損なうシステムは、抵抗感を生み運用が形骸化するリスクがあります。

車椅子利用者や視覚障害者への配慮も必要です。アクセシビリティに配慮した設計を心がけましょう。

医療施設では緊急時の迅速な出入り、教育施設では避難経路の確保など、施設特有の要件も考慮が必要です。

段階的な導入アプローチ

全施設一斉導入ではなく、パイロット運用から始めるのが賢明です。問題点を洗い出し、改善してから本格展開します。

重要度の高いエリアから優先的に導入する方法もあります。予算の制約がある場合、段階的な投資計画を立てましょう。

運用ルールの整備

システム導入と同時に、運用規程を策定します。入退室権限の付与基準、変更プロセス、緊急時の対応手順などを明文化します。

定期的な権限の棚卸しも重要です。退職者や異動者のアクセス権が残っていないか、定期的にチェックする仕組みを整えます。

利用者教育とコミュニケーション

利用者にはシステムの使い方だけでなく、セキュリティの重要性を理解させます。なぜ入退室管理が必要なのか、背景と目的を共有しましょう。

共連れ防止など、システムだけでは防げないリスクもあります。セキュリティ意識の醸成が、真の効果を生み出します。

 

入退室管理システムの運用と改善

導入後の効果測定、ログ分析、定期的な見直しにより、セキュリティレベルを維持・向上させます。

ログデータの活用

入退室ログはセキュリティ監査だけでなく、施設運営の効率化にも活用できます。会議室や施設の利用状況分析、スペース最適化の基礎データとなります。

異常なアクセスパターンの検知も可能です。深夜の不自然な入退室や短時間での複数エリアへのアクセスなどを自動で検出できます。

定期的な見直しと改善

組織変更や業務プロセスの変化に応じて、アクセス権限を見直します。年1回以上の定期レビューを推奨します。

セキュリティは継続的な改善が求められる領域なので、新しい脅威や技術動向にも注目しましょう。

セキュリティインシデントへの対応

万が一、不正侵入や情報漏えいが発生した場合の対応手順を準備します。ログの保全、関係者への連絡、再発防止策の検討などを迅速に行える体制を整えます。

まとめ: 入退室管理とセキュリティ対策で実現する安全な施設環境

入退室管理とセキュリティ対策は、情報資産と利用者を守る重要な基盤です。技術の進化により、セキュリティと利便性の両立が可能になっています。

自施設の課題とニーズを正確に把握し、適切なシステムを選定しましょう。段階的な導入と継続的な改善により、効果的で効率的なセキュリティ環境を構築できます。

入退室管理とセキュリティ対策の強化は、施設価値の向上につながる投資です。今こそ、自施設のセキュリティレベルを見直すタイミングかもしれません。

アマノの入退室管理ソリューション

アマノの入退室管理ソリューションは、信頼性の高いシステムと豊富な運用ノウハウで、企業や施設の物理セキュリティと勤怠・在場管理を一体的に強化できる点が特徴です。

ドアセキュリティシステムでは、ICカード・パスワード・生体認証など豊富な認証方式と細かなアクセス権制御により、各ドアの重要度や運用に応じたセキュリティレベルを柔軟に設定できます。 既存ドアへの後付けや1ドアからの段階導入にも対応し、入退室ログと勤怠データを連携させて労務リスク対策にも活用できます。

エントランスや重要エリアには、人用フラッパーゲートと車両用ゲートを組み合わせたセキュリティゲートが有効です。オフィスから工場・駐車場まで人と車両の入退場を同一システムで一元管理できます。 デザイン性とバリアフリー性に配慮しつつ、共連れ検知や時間帯別制御、履歴管理などの機能で、不正侵入の抑止とセキュリティレベルの標準化を実現します。

利便性と安全性を両立したい現場には、ハンズフリー入退場管理システムが適しています。タグやデバイスを身に付けて通過するだけで複数人を同時認証し、エリア間移動や滞在時間を自動的に把握します。 危険エリアへの誤侵入検知やリアルタイム在場管理により、工場・物流倉庫・病院・研究施設などの安全管理や業務効率化に貢献します。

アマノは90年以上にわたり時間管理・入退管理システムを提供した実績があり、ドアセキュリティ、セキュリティゲート、ハンズフリーを含む製品ラインアップから、拠点ごとの課題とセキュリティレベルに応じた最適な組み合わせを提案します。 導入設計から施工、機器連携、運用支援、保守サービスまでワンストップでサポートし、長期にわたって安心して利用できる体制を整えています。

GUIDE

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01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

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