勤怠管理ガイド

「打刻」なくして勤怠管理は始まらない!あらためて考える打刻の意味とは?

公開日時:2024.03.01 / 更新日時:2024.03.07

勤怠管理をするうえで、最も重要なのは「打刻」です。打刻なくして勤怠管理は成立しません。2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」によって、より厳密な労働時間の管理が求められるようになりました。打刻に対する意識改革は、企業にとって喫緊の課題です。
今回は、普段何気なく行っている打刻に焦点を当て、その重要性や打刻もれのリスク、リスク回避の方法などを詳しく解説します。

「打刻」とは何か

打刻とは、従業員の出退勤時刻を正確に把握するための作業です。多くの場合、従業員が出退勤時にタイムカードなどを利用して、本人が直接その場で時刻を記録します。

最近では、タイムカード以外にも、さまざまな打刻方法があります。手法については後ほど紹介しますが、重要なことは「打刻する本人が、直接その場で行う」という点です。

あとからタイムカードへ手書きで記入する行為は、データ改ざんとみなされ、打刻として扱われません。他人に打刻してもらう「代理打刻」も改ざんにあたります。

勤怠記録の改ざんは、法律違反となります。罰則の対象となる場合もあるため十分な注意が必要です。

正確な「打刻」が重要な理由とは

打刻は、労働時間を正確に把握するうえで必要不可欠な作業です。打刻が特に重要となる理由を見てみましょう。

適切な給与支払い

タイムカードやそのほかの出退勤時間を記録する媒体を利用して、正確な労働時間を把握すれば、正しい給与計算が可能となります。残業代や遅刻早退、欠勤控除なども正しく反映できるため、適切な給与支払いができるのです。

コンプライアンス

2019年から順次施行されている「働き方改革関連法」には、「時間外労働の上限規制」や「月60時間を超える時間外労働の割増賃金」などの法改正が盛り込まれています。法律にのっとった運用をするためにも、勤怠管理における打刻は非常に重要です。ここをおろそかにしてしまうと、法律に抵触する事態にもなりかねません。法律違反とみなされれば、罰則を科せられることもあるため、厳格に管理する必要があるでしょう。

長時間労働の是正

残業時間を把握して適正な残業代を支払うという意味でも打刻は大切ですが、そもそも長時間労働自体を把握するためにも重要です。長時間労働を放置すると、従業員の身体にさまざまな影響がおよぶ可能性があります。法律遵守の面だけではなく、従業員の健康管理も企業の責務です。従業員の労働時間をきちんと把握し、無理なく心身ともに健康で働けるようにするためにも、打刻という作業はとても重要です。

時代とともに「打刻」方法も進化する

厚生労働省が発表した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」には、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」という項目があります。そこには「原則的な方法」として、以下のことが示されています。

  • 使用者が、自ら現認することにより確認すること
  • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

勤怠の記録は、客観的なデータに基づいて行わなければなりません。最近では、出退勤時の打刻もさまざまな方法が存在します。打刻方法の種類について、見てみましょう。

タイムカード方式

タイムレコーダーを利用して、紙のタイムカードへ打刻する従来型の記録方式です。従業員の出入りが多い場合でも、低コストで素早いカード発行ができ、印字された出退勤データを、そのまま目視で確認できるという管理のしやすさがあります。

最近では、タイムカードに記録されたデータが、ネットワーク経由で勤怠管理システムと通信する機能をもつレコーダーも存在します。

非接触ICカード方式

個々の従業員へ発行される社員証などのICカードを利用して出退勤を打刻する方式です。タイムカードのように毎月の紙カード発行が不要となるため、コストの削減や効率化につながります。

打刻データは、勤怠管理システムと通信することで、自動的に記録されます。

ICカード自体を、ドアセキュリティなどのほかの用途に活用できるという利点もあります。

生体認証方式

生体認証は、顔や指紋、指静脈など、個人の身体的特徴を利用して打刻する方式です。あらかじめ個人の身体データを登録しておき、専用のタイムレコーダーで読み取って出退勤時刻を記録します。

非接触ICカード方式と同様に、打刻データは自動で勤怠管理システムへ送られ記録されます。

改ざんや代理打刻ができなくなるため、より精度の高い勤怠管理が実現します。また、タイムカードやICカードのような物理的な依存がないため、コスト削減にもつながります。さらに、タイムカードを探す手間やICカードを忘れて打刻ができないということもなくなり、打刻もれや打刻ミスの軽減につながるでしょう。

パソコン・スマホ入力方式

出勤や退勤の際に、パソコン画面の該当するボタンをクリックすることで出退勤と記録する方式です。リモートワークや直行直帰などの変則勤務にも対応可能です。

打刻もれで起こりうるリスクとは

それでは、打刻もれについて考えてみましょう。打刻もれには、どのようなリスクが隠れているのでしょうか。

勤怠管理業務の負担が増加する

打刻もれが発生すると、勤怠管理の担当者は該当する従業員に連絡して確認し、勤務時間の修正作業を行います。修正作業が複数重なると膨大なタイムロスとなり、本来やらなければならない業務を圧迫することにもなりかねません。

適切な労働時間把握が困難になる

打刻もれが発生すると、労働時間を適切に把握することが困難となります。本来支給するはずの残業代が支払えなかったといった、重大なミスが起こる原因にもなりかねません。

また、労働時間が正確に把握できないと、長時間労働に気づくことが遅れる、あるいは気づかないといった事象も起こりえます。

2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」では、すべての企業に対して、高度プロフェッショナル制度の人材を除く、全従業員の労働時間の把握が義務化されました。打刻もれにより労働時間の正確な把握が困難になると、残業時間の上限規制や時間外労働の割増賃金に関する法に触れ、罰則の対象になる可能性もあります。

打刻もれは、コンプライアンス違反となる懸念もはらんでいるのです。

打刻もれ予防のためにとるべき4つの対策とは

打刻もれは、法令違反のおそれや生産性の低下などの重大なリスク要因となります。ほかにも、従業員の健康リスクやガバナンスの欠如など、数多くのリスクも潜んでいます。

そういったリスクを回避するため、企業として取り組むべき対策を4つ紹介します。

各従業員への意識づけをする

打刻もれは、従業員の意識や心がけに起因するものでもあります。打刻もれが発生したときのリスクを従業員にしっかりと説明し、理解を得ることが重要です。

また、上長や従業員同士でする「声かけ運動」の時期を設ける、タイムレコーダー付近に「張り紙」をして注意喚起するといった施策も有効です。

ルールを明確にする

いつ・どこで・だれが・どのように、というような誰にでも直感的にわかるルールを策定するのも重要です。新入社員でもすぐに理解できるルールであれば、打刻もれ対策にもなるでしょう。

打刻しやすい環境を整える

先述のように、最近では打刻の方法も多様に進化しています。職場環境や働き方などに合わせて、打刻しやすい方法を検討しましょう。

勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムを利用すれば、あらゆる勤怠の打刻へ柔軟に対応できます。従来のタイムカード方式による打刻や、ICカードを利用する打刻などとも連携が可能です。

また、リモートワークや直行直帰などの変則勤務の際にも、パソコンから直接行う打刻やスマートフォンアプリからの打刻など、さまざまな打刻に対応できます。

打刻もれを最小限にできる最良の選択が、勤怠管理システムの導入です。

まとめ

勤怠管理において、打刻はなくてはならないものです。労働基準法の改正により、企業には従業員の労働時間の把握が義務づけられました。コンプライアンスの観点からも、正確な打刻は重要性が増しています。

現在、さまざまな打刻方法があり、打刻もれの防止策も進んでいます。そのなかでも、勤怠管理システムは、あらゆる打刻方法と連携ができ、リモートワークや直行直帰などの働き方にも柔軟に対応が可能です。業務の効率化や生産性の向上にもつながるでしょう。

正確な打刻で適正な勤怠管理を実現するためにも、勤怠管理システムの導入をぜひご検討ください。

多様な働き方にも対応可能な勤怠管理システム

GUIDE

勤怠管理のパイオニア「AMANO」のノウハウをぎゅっと凝縮してお届けします!

01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

全てを1つの資料にまとめた総集編「勤怠管理の選び方完全ガイド」無料配布中!

「高いシステムと安いシステムでは何が違うのか」を徹底解説