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デジタル給与(給与デジタル払い)開始に向けて。PayPay給与の概要、導入方法とは

公開日時:2024.12.06

デジタル給与(給与デジタル払い)が2023年4月に解禁され、2024年8月にPayPayが初の指定資金移動業者となりました。従来の銀行振込や現金支給に加え、新たな給与支払い方法として企業の注目を集めています。また、キャッシュレス決済の普及に伴い、従業員からのニーズも高まりつつあります。そこで本記事では、デジタル給与の概要とメリット・デメリット、そして導入方法について詳しく解説します。

デジタル給与(給与デジタル払い)とは

デジタル給与とは、従来の銀行振込や現金支給ではなく、国が認めた指定資金移動業者のアカウントを通じて、電子マネー(デジタルマネー)で給与を支払う方法です。2024年10月現在の指定資金移動業者は、PayPayのみです。

企業が従業員のPayPayアカウントに直接給与を送金し、従業員がスマートフォンアプリを通じて給与を受け取る仕組みとなっています。

デジタル給与(給与デジタル払い)の開始の経緯

キャッシュレス社会の進展や多様な働き方への対応が求められるなか、厚生労働省は2022年11月に労働基準法の改正省令を公布し、デジタル給与を認めることを明言しました。これが2023年4月に施行されると、指定資金移動業者の申請受付と審査が開始されました。

その後審査を経て、2024年8月にPayPayが初の指定資金移動業者となりました。これを受け、ソフトバンクグループの複数の企業では、2024年9月分の給与から、希望する従業員に対しPayPayを通じた給与のデジタル払いを開始しています。

「PayPay給与受取」サービスの特徴

「PayPay給与受取」サービスでは、従業員は毎月の給与をPayPayアカウントで受け取ることができます。具体的に以下のような特徴があります。

利用上限額は20万円・超過分は口座に自動送金される

PayPayアカウントでの保有可能な給与残高の上限は20万円です。上限を超える金額は、従業員が事前に登録した銀行口座に自動的に送金されます。なお、この自動送金にかかる手数料は無料となっています。

柔軟な受取が可能

給与の一部のみをPayPayで受け取り、残りを従来の銀行口座で受け取ることも可能です。また、従業員は受け取った給与を、必要に応じて自身の銀行口座に送金することができます。この手数料は月1回まで無料です。

追加契約は不要

企業側は、PayPayとの追加のサービス利用契約なしで利用を開始できます。

また、PayPayが各従業員に対して専用の「給与受取口座への入金用口座番号」を発行するため、企業はこの口座番号に対して通常の銀行振込と同様の方法で給与を送金できます。

保証制度

第三者保証機関(三井住友海上火災保険株式会社)による保証があり、万が一PayPayが経営破綻した場合でも、6営業日以内に第三者保証機関からPayPayアカウントの給与相当額が保証金として支払われる仕組みが整っています。

デジタル給与(給与デジタル払い)のメリット・デメリット

デジタル給与には企業側・従業員側それぞれにメリット・デメリットがあります。導入を検討する際は、これらを十分に理解しておく必要があります。

企業側のメリット

従業員満足度の向上

デジタル給与の導入により従業員の多様なニーズに応えられるため、結果として従業員満足度の向上につながる可能性があります。

企業のイメージアップ

デジタル給与の導入は、企業のデジタル化の推進をアピールする効果もあるでしょう。新しい取り組みへの積極的な姿勢は、特に若手人材の採用においてポジティブな印象を与えることができます。

企業側のデメリット

手続きの手間がかかる

導入時は、労使協定の締結や個別の同意取得など、決められた手続きが必要です。詳細は後述しますが、これらの手続きには当然ながら一定の時間と労力を要します。

管理負荷が増大する可能性がある

また、運用時の管理負担にも注意が必要です。MMD研究所の調査によると、デジタル給与の利用を希望する労働者は全体の約2割にとどまっており、年代によってニーズにバラつきがあります。そのため、運用時も個々の希望に応じた二重運用により、管理コストが増加する可能性があります。

従業員側のメリット

従業員にとっては、スマートフォンで給与を即時に受け取れ、チャージの手間なく利用できる利便性が大きなメリットです。銀行口座への送金も容易で、その時々の状況に合わせて利用できます。

従業員側のデメリット

一方、20万円という給与受取上限があるため、給与のすべてをPayPayマネーとして受け取れない従業員も出てきます。また、スマートフォンの紛失や不正利用のリスクなどに注意する必要があります。

企業はこれらのメリット・デメリットを踏まえ、デジタル給与の導入を検討しましょう。

デジタル給与(給与デジタル払い)の導入方法

企業がPayPayでのデジタル給与を開始する方法は、以下のとおりです。

従業員のニーズの確認

デジタル給与の導入を検討する際は、まず従業員の希望を調査します。デジタル給与の利用意向や希望する受取額を確認しましょう。

また、今後指定資金移動業者が増えた際には、この段階で、導入するサービスを選択する必要も出てきます。なお、複数の指定資金移動業者を選択することも認められています。

労使協定の締結

デジタル給与の導入には、労使協定の締結が必須です。労使協定には、以下の事項を記載する必要があります。

  • 対象となる労働者の範囲
  • 対象となる賃金の範囲とその金額
  • 取扱指定資金移動業者の範囲
  • 実施開始時期

また、必要に応じて就業規則の改定が必要です。主に賃金の支払方法に関する条項を見直し、デジタル給与を支払方法の選択肢として追加します。改定後の就業規則は、労働基準監督署への届け出を忘れないようにしましょう。

従業員への説明

デジタル給与の導入に際しては、従業員に対し、給与受け取りの流れや留意事項を丁寧に伝えましょう。この説明は、指定資金移動事業者に委託することも可能です。

従業員の同意と必要情報の取得

同意は、書面でなく電磁的記録によることも可能です。以下の様式例を参考に、正しく同意を得ましょう。なお、申請内容をPayPayへ提出する必要はありません。

また、従業員から同意を得る際には、デジタル給与の支払いに必要な情報(希望する受取額や指定代替口座の情報)を取得する必要があります。指定代替口座とは、デジタル給与の受入上限額を超えた場合や、資金移動業者が破綻した際に保証機関から残高の弁済を受ける場合などに使用される預貯金口座のことです。

デジタル給与(給与デジタル払い)導入の注意点

デジタル給与の導入には、注意点もあります。以下の点について正しく把握しておきましょう。

導入は義務ではない

デジタル給与(給与デジタル払い)導入は義務ではありません。従業員の同意を得られないままデジタル払いを強制した場合、労働基準法違反として罰則を受ける可能性があります。

また反対に、従業員からデジタル払いの要望があったからといって、必ず使用者が導入しなければならないものでもありません。

ポイント等での支払いは不可

商品券・クーポンや電子ポイント、暗号資産(仮想通貨)など、即時に現金化できない形態での給与支払いは禁止されている点にも注意しましょう。

まとめ

デジタル給与の解禁により、企業の給与支払い方法は大きく変わります。デジタル化が進む現代社会において、デジタル給与は新たな選択肢として、今後ますます注目を集めていくでしょう。

しかし、業務の効率化や従業員満足度の向上といった多くのメリットが期待できる一方、給与業務の二重運用による負担増加といった運用上のリスクには注意が必要です。デジタル給与を導入する際は、既存の給与業務も見直し、効率化を図りましょう。

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