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人事・労務なんでもQ&A

昼休みに仕事をしている従業員がいるのですが、企業としてどのように対処すべきでしょうか。法的リスクなどはありますか。

昼休み中の業務は「自主的」であっても労働時間として扱う必要があり、放置すると未払い残業代の発生など法的リスクが生じます。会社は実態調査を行い、昼休み取得の重要性を周知するとともに、職場でお互いに声掛けする環境づくりが重要です。管理職が率先して休憩を取り、部下にも積極的に声掛けすることで、休憩を取りやすい職場文化を醸成しましょう。
公開日時:2025.07.17
詳しく解説

Q. 昼休みに仕事をしている従業員がいるのですが、企業としてどのように対処すべきでしょうか。

当社は従業員約300名のIT系企業です。最近、昼休み中にデスクで作業を続けている従業員が増えていることに気づきました。一部の管理職からは「自主的に行っているのだから問題ない」という意見もありますが、労働時間管理の観点から心配しています。昼休みに仕事をしている従業員への対応について、法的な観点も含めてアドバイスをいただけないでしょうか。また、このような状況を改善するための勤怠管理の方法についても教えてください。

A. 昼休みの仕事は労働時間として扱うべきで、適切な管理と対応が必要です。

昼休みに仕事をしている従業員への対応は労働時間管理の重要な課題です。法的には、昼休みであっても業務に従事している時間は労働時間として扱う必要があります。このような状況を放置すると、未払い残業代やサービス残業の問題に発展し、労働基準法違反となるリスクがあります。

企業としては、まず従業員に昼休みの重要性を周知し、休憩時間の確保を促すことが大切です。同時に勤怠管理システムを活用して、実際の労働時間を正確に把握する仕組みを構築しましょう。

昼休みと労働時間の関係性

昼休みの法的位置づけ

労働基準法では、6時間を超え8時間以下の労働に対して少なくとも45分、8時間を超える労働に対しては少なくとも1時間の休憩を与えることが義務づけられています。この休憩時間は「労働者が休息を取るための時間」であり、労働から完全に解放されていなければなりません。つまり、昼休み中に業務に関する作業を行っている場合、それは本来の休憩とは言えず、労働時間として扱う必要があります。

「自発的な残業」の考え方

「自主的に行っている」という理由で昼休み中の業務を労働時間として扱わないことは適切ではありません。労働基準法上、使用者からの指示の有無にかかわらず、会社のために労働した時間は労働時間として認められます。管理職が黙認している場合も、会社が業務を認識していたとみなされる可能性があります。

サービス残業のリスク

昼休みの業務を適切に労働時間として計上しないまま放置すると、いわゆる「サービス残業」となり、未払い賃金が発生します。これは労働基準法違反となり、是正勧告や罰則の対象になる可能性があるほか、従業員からの未払い賃金請求リスクも高まります。

サービス残業については、以下の記事で詳しく解説しています。

昼休みに仕事をする従業員が増える背景

業務量の増加と納期のプレッシャー

従業員が昼休みに仕事をする主な原因として、業務量の増加や納期のプレッシャーが考えられます。特に製造業では、生産スケジュールが厳格であることが多く、定時内での業務完了が難しいと感じる従業員が増えている可能性があります。

職場文化と同調圧力

一部の従業員が昼休みに仕事をし始めると、周囲もそれに同調する傾向があります。「周りが仕事をしているのに、自分だけ休んでいられない」という心理が働き、職場全体に昼休み労働が広がることがあるのです。

テレワークの普及による勤務時間のあいまい化

近年のテレワーク普及により、勤務時間と休憩時間の区別があいまいになっている傾向があります。オフィス勤務でも、この感覚が持ち込まれ、休憩時間の意識が薄れている可能性があります。

会社として取るべき対応策

実態調査と原因分析

まずは昼休みに仕事をしている従業員の実態を把握することが重要です。どのような業務を行っているのか、なぜ昼休みに作業する必要があるのかなどを調査し、根本的な原因を分析しましょう。部署ごとのヒアリングや匿名アンケートなどを実施すると効果的です。

昼休み取得の重要性の周知

従業員に対して、昼休みは心身のリフレッシュのために重要であることを周知し、適切な休憩取得を促しましょう。また、職場内でお互いに声を掛け合い、休憩時間の確保を促進する雰囲気づくりも大切です。労働時間管理の観点からも、昼休みに業務を行う場合は申告するよう指導することが大切です。

業務量の適正化と効率化

従業員が昼休みまで仕事をしなければならない状況にあるならば、業務量の見直しや効率化が必要です。部署ごとの業務分析を行い、必要に応じて人員配置の見直しや業務プロセスの改善を検討しましょう。

管理職への教育と意識改革

「自主的だから問題ない」という認識を持つ管理職に対して、労働法規の正しい理解と適切な労務管理の重要性を教育することも重要です。管理職自身が率先して昼休みを取得し、部下にも積極的に声掛けをして休憩を促す姿勢を示すことが効果的です。

昼休みの労働時間管理の具体策

客観的な労働時間記録システムの導入

ICカードや生体認証などを活用した勤怠管理システムを導入し、休憩時間の開始・終了を正確に記録できる環境を整備しましょう。システムによる客観的な記録は、適正な労働時間管理の基盤となります。

自己申告制度の整備

システムだけでは捉えきれない業務実態を把握するため、従業員が昼休み中に業務を行った場合に申告できる仕組みを整えましょう。申告のハードルを下げるため、簡便な方法で報告できるようにすることが重要です。

昼休み中のオフィスルールの設定

昼休み中は会議や電話対応を控える時間帯として部署内で明確にルール化するなど、環境面から休憩を促す工夫も効果的です。例えば、昼休み時間帯の電話での問い合わせは不可とし、自動応答や留守番電話で対応する、または社員によって休憩時間をずらして取ることで、交代制で電話対応を行うなどの対策も検討しましょう。また、特定のエリアを休憩専用スペースとして設けることで、仕事と休憩の切り替えを明確にすることができます。

勤怠管理システム導入による解決策

アラート機能の活用

休憩時間中にパソコンを使用している場合や特定のエリアで作業を続けている場合などに、アラートを発する機能を活用することで、従業員に休憩を促せます。パソコンの操作ログを監視して、休憩時間中のパソコン使用頻度が高い従業員には管理職から適切な指導や声掛けを行うことも効果的です。ただし、モニタリングを行う際は、事前に従業員への周知を行い、プライバシーに配慮した運用が重要です。

労働時間データの分析と活用

蓄積された勤怠データを分析することで、昼休みに業務を行う傾向が強い部署や時期を特定し、重点的な対策を講じられます。データに基づく対策は、より効果的な改善につながります。

上長への通知機能

昼休みに業務が行われている場合、システムから上長に自動通知される機能を導入することで、管理職の労務管理意識を高められます。

社員のワークライフバランス向上につながる休憩時間確保の意義

生産性向上と健康経営

適切な休憩取得は従業員の集中力や創造性を高め、結果的に生産性向上につながります。また、休息不足による健康リスクを低減し、健康経営の実現にも寄与します。

職場環境の改善とエンゲージメント向上

昼休みをしっかり取得できる職場環境は、従業員満足度やエンゲージメントの向上につながります。特に若手世代は、ワークライフバランスを重視する傾向があり、若手社員の採用競争力を強化できるでしょう。

Z世代の特徴やエンゲージメント向上については、以下の記事をご覧ください。

コンプライアンスリスクの低減

休憩時間の適切な管理により、労働基準法違反などのコンプライアンスリスクを低減できます。これは企業の社会的信頼にも直結する重要な要素です。

まとめ

昼休みに仕事をしている従業員への対応は、法令遵守の観点からも、従業員の健康管理の観点からも重要な課題です。まずは実態を正確に把握し、適切な労働時間管理の仕組みを整えることが重要です。同時に、業務量の適正化や職場文化の改善に取り組むことで、根本的な解決を目指しましょう。

勤怠管理システムの導入は、昼休みの労働時間管理において大きな助けとなります。特に多様な勤務形態や複数の拠点を持つ中堅・大手企業では、システム化による一元管理のメリットが大きいでしょう。適切な労働時間管理は、企業の生産性向上と従業員の働きがいの両立につながります。

昼休み中の労働も厳密に管理が可能なアマノの勤怠管理システム

アマノの勤怠管理システムは、昼休みの適切な管理をサポートする機能が充実しています。休憩開始・終了の正確な打刻記録で昼休み中の業務状況の可視化が可能です。労働時間管理に課題を抱えている方は、ぜひご検討ください。

GUIDE

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01基礎知識

勤怠管理の意義と
重要性

02選び方

勤怠管理システム
選び方の基本

03実践編

勤怠管理システム
導入のポイント

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