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社会保険のe-Gov義務化について
Vol.83 2019.04.16

社会保険のe-Gov義務化、準備はすすんでいますか?

社会保険の届け出を紙ではなく電子申請で行うという義務化が2020年度より順次スタート予定です。目前になって、あわてることのないように既存の人事データとの連携を視野に対応準備にとりかからなければなりません。

杉本 一裕氏

杉本 一裕

【プロフィール】

社労士・行政書士事務所SRO労働法務コンサルティング 代表

人事コンサルタント。大阪府立大学大学院 経営学修士(MBA)修了。IT企業在職中は人事領域のコンサルティングを多数実施。2007年には消えた年金問題で総務省 大阪地方第三者委員会調査員を兼務する。その後、社労士と行政書士事務所を開業。IT・医療・学校・製造業や流通業など幅広い業種の顧問先業務に従事。講演や執筆活動も行っている。

連載執筆の労務記事
日経xTECK 「職場のトラブル相談室」、日経SYSTEMS 「IT職場のトラブルQ&A」、他

対象となる届け出は

2020年4月より社会保険の電子申請が義務化となります。まずは大法人(いわゆる大企業)からスタートします。「えっ!国がややこしいことを言い出した」と考えても仕方ありません。現実的に使いこなせるようになると人事部事務の効率化につながりますので前向きに考えましょう。
当面のスタートは、健康保険や厚生年金関係の賞与支払届、算定基礎届、月額変更、そして労働保険関係で年度更新の申告、資格取得・喪失関係などになります。順次、対象物は広がっていくと思います。社会保険に限らず、電子化の仕組みは他業務でも検討されており強力に推進していくであろうことは明白です。

e-Govで人事業務は効率化されるのか

筆者が人事給与業務に関わるようになって30年、その間に多々法令がかわり給与計算も含め複雑になりました。昔の給与計算は今より簡単でした。賞与から社会保険料が控除されるようになり、住宅取得控除が追加され、扶養控除や配偶者控除の仕組みも変わるなど多々変わりました。現在ではマイナンバーも紐づけて管理しなければなりません。
しかしながら、人事部の職員数は増えていないように思います。間接部門であり、まずは売り上げに関係する部門に注力するからでしょうか。こういった状況の中でe-Govは手続き業務の効率化につながります。


  •  窓口に行って番号札を貰って順番待ちすることなく
  •  いちいち封筒に入れて郵送する手間もなく
  •  24時間いつでも申請可能

筆者の事務所の顧客は関東、関西に多いです。地域に関係なく円滑に対応できているのはe-Govをフルに使って運用しているからです。

e-Gov、簡単に使えるのか

本当に、簡単に使えて効率化につながるのかと言えば筆者目線ですが条件によります。厚生労働省が提供するe-Gov(Web画面)を直接操作するには、よほど工夫して使わないと難しいと思います。慣れるまでに時間がかかります。

日頃から使っている人事データから簡易的な操作で連携できれば有難いでしょう。社員が入社した、退社したときに必ず必要となる資格取得や喪失の手続き、社会保険料の決定で必要となる算定基礎届などの元データは人事給与パッケージにあります。既になんらかのパッケージで給与計算を含め社員の管理を行っているはずです。e-Gov(Web画面)から直接入力した場合は、入力ミスも含めてチェックが煩わしいです。

e-Govでの申請でデータに不備があると“返戻”という形で、提出した申請書が戻されます。「どこが、おかしいのだろう?」って悩むことになります。できることなら、既に管理している人事給与のデータを連携活用しパッケージ側の操作でe-Govに連携できればと考えるのは当然です。そうなれば、操作で悩むこともなくデータを入力する手間も省け効率化につながります。

既存の人事給与システムとの連携を可能とするには

国はe-Govの外部連携用のApplication Programming Interface(以下API)の仕様を公開することで、外部の人事給与システムとの連携する仕組みを作りこみやすいようにしています。現在使っている人事や給与計算のパッケージを利用して電子申請が可能となれば言うことなしです。
人事給与のパッケージベンダーは、e-Govと連携できる機能の提供や新たにe-Govに対応したパッケージの提供で既存システムとの連携、融合性などに力を入れていくようになるでしょう。

図表1「働き方改革関連法施行スケジュール」

今後は、さらに電子申請が加速する!

電子申請化への提言は多数あります。厚生労働省が発信した「行政手続コスト」削減のための基本計画(平成30年6月改定版)では手続のオンライン化の推進が下記のように示されています。


『現在、例えば厚生年金保険の届出において、紙媒体、CD・DVD及び電子申請のいずれかを選択できる仕組みとなっていることが、電子申請推進の阻害要因となっている。このため、大法人の事業所(資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社に係る適用事業所をいう。以下同じ。)については、原則、紙媒体及びCD・DVDによらず電子申請を義務化する。社会保険労務士又は社会保険労務士法人が、大法人の事業所に代わって手続を行う場合も同様とする。実施に当たっては、速やかに切り替えられる事業所から順次切り替えを行い、平成32年4月1日以後に開始する当該大法人の事業所の事業年度又は年度から、電子申請により行うものとする。また、上記の義務化の要件に該当しない事業所についても、あわせて電子申請への移行を促すこととする。(略)』


今後は、国の方針も相まってAPI連携による申請が大企業から定型化していくことが想像できます。中小企業においても他人事ではありません。経過措置やなんらかの別方式が考えられたとしてもe-Govの活用で仕事が楽になるのであれば使わない手はありません。明らかにAPI連携による申請が主流になるでしょう。
そろそろ、自社で使用している給与計算パッケージからのe-Govへの連携を含めて、検討をはじめなければなりません。

社会保険のe-Gov義務化の準備には「e-AMANO 人事届出サービス」

図表1「e-AMANO 人事届出サービス」

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